PCゲーム開発・運営の大手ライアットゲームズが、注目のアニメーションスタジオに出資する。2022年3月17日ライアットゲームズは、フランス・パリに本社を持つForticheプロダクションの株式取得を発表した。取得株数や割合、金額は公表していないが、非支配株主であると同時に多数の株式の取得と説明している。
これに合わせてライアットゲームズは自社コンテンツ最高責任者のブライアント・ライト氏とコーポレート・デベロップメント・ディレクターのブレンデン・マリガン氏がForticheの取締役に加わったことも明らかにした。両社は今後長期的なパートナーシップを強化していく。
ライアットゲームズは2006年にゲームの開発・パブリッシング・運営企業としてカリフォルニア州サンタモニカに設立、2009年に発表したPCゲーム『リーグ・オブ・レジェンド』の大ヒットで世界的な地位を築いた。このほか『チームファイト タクティクス』や『VALORANT』といったヒット作を持ち、e‐スポーツでも世界的に存在感がある。2015年より中国の大手ゲーム会社テンセントの完全子会社となっている。
Forticheプロダクションは2009年に設立され、パリのほかモンペリエ、スペインのラス・パルマスと合わせて350人のスタッフを抱える。長年ライアットゲームズとビジネス関係があり、特に『リーグ・オブ・レジェンド』に関連するアニメーションに多く関わった。
なかでも2021年11月にNetflixで世界配信を開始した『Arcane』は、2Dと3Dをハイブリッドした独自の映像が話題を呼び、Netflixで世界1位を獲得する大ヒットとなった。『リーグ・オブ・レジェンド』の世界観に基づいたアニメシリーズで、ライアットゲームズとNetflixとの提携の中で制作された。現在は『Arcane』セカンドシーズン、さらなるプロジェクトも進んでいる。
『Arcane』はこれまでゲーム会社であったライアットゲームズ、そしてその親会社にあたるテンセントにとって、アニメーションでのグローバルエンタテイメントビジネスの大きな一歩となった。それだけに映像を創り出すForticheプロダクションの制作チームとクリエイティブは手放すことは出来ない。
今回のForticheプロダクションへの出資は、より密接に長期にわたって関係を維持するための判断だったとみられる。逆に投資資金の豊富なライアットゲームズの存在は、新たなアニメーションを生み出す大きな力になりそうだ。『Arcane』の誕生は日本が長年得意としてきたアダルト・アニメーションのジャンルに巨大なライバルが現れたとされている。Forticheプロダクションの今後の成長、行方は日本のアニメスタジオにとって無関係ではない。
ライアットゲームズ公式サイト https://www.riotgames.com/ja