エイベックス筆頭株主にサイバーエージェント、自己株式を52億円で引き受け

ファイナンス決算

 音楽・映像事業のエイベックスは2021年5月27日に、自己保有する自社株350万株をサイバーエージェントに第三者割当のかたちで譲渡することを明らかにした。
 価格は1株1488円で、エイベックスは総額約52億円を資金調達する。6月14日付で実施される。サイバーエージェントが取得するのは発行済株式の約7.4%にあたり、すでに保有する株式と合わせて持株比率は12.27%に上昇する。これによりサイバーエージェントは松浦勝人氏の資産管理会社マックス 2000などを超え、筆頭株主に浮上する。

 サイバーエージェントはネット広告とゲーム事業の大手、ネット利用の拡大に伴い売上げ、利益も急伸している。2021年度も過去最高の売上げ利益を更新する見込みだ。
 豊富な資金をもとに積極的な事業投資を続けており、コンテンツ企業との連携もそのひとつだ。今年2月にはKADOKAWAの一部株式も50億円で取得している。

 エイベックスは国内を代表する音楽企業で、多くの有力アーティストを抱える。また近年はアニメ事業でも数多くのヒット作をだしている。『おそ松さん』、『ユーリ!!! on ICE』、『KING OF PRISM』といったヒット作がある。ゲーム市場進出も狙うなど、エンタテイメントの多角化積極的だ。
 しかし得意としてきたコンサートなどのライブ事業が、昨年からの新型コロナ禍で大きな打撃を受けており、前期決算は大幅減収、営業赤字に沈んだ。そうしたなかでコロナ以降の積極的な事業展開に向けて自己株式処分による資金調達を活用した。

 調達資金は音楽アーティスト関連事業に32億円、アニメ・ゲーム開発に20億円を振り向ける。音楽事業では、アジアのアーティスト開発や育成の成果をもとにグローバルアーティストの発掘や獲得、育成を強化する。海外ファン向けのデジタルプロモーションも実施する。22年3月期に12億円、23年3月期と24年3月期にそれぞれ10 億円を投資する。
 また海外市場の拡大や高い成長が続くアニメも重点事業のひとつだ。今期は大型アニメタイトルの制作を予定されており、アニメ作品と連動したゲーム開発も予定する。こうした大型アニメ・ゲーム開発とそれらの国内外へのプロモーションに投資する。22年3月期に8億円、23年3月期と24年3月期に各6億円を投資する予定だ。

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