サウジアラビでアニメ、ゲーム、コミック出版をてがけるアリナト(ARiNAT)は、日本のアニメ制作会社ガイナックスと共同でアラブを舞台にした3分間のアニメトレーラーを制作した。2016年10月27日から29日までUAEドバイのヤス島で開催された日本カルチャーイベント「ANI:ME」で初披露された。現地のファンから大きな反響を得たという。
トレーラーは『沙漠の騎士(Desert Knight)』とタイトルされており、アラブを舞台に少年が謎の騎士と戦う様子を描いている。舞台や登場人物はアラブだが、大きな目のキャラクターは日本アニメスタイル、さらにメリハリの利いたアクションシーンなどで、日本カルチャーとアラブカルチャーが融合している。トレーラーはYouTubeで、日本語版も公開されている。
アニメトレーラーは3分間だが、今回のためのオリジナルストーリーでガイナックスとアリナトが共同でストーリーと構想を練った。また、トレーラーのタイトルには予告編とあり、今後に向けたより大きな構想もありそうな気配だ。
アリナトのCEOであるブカーリ・イサム氏は日本との取り組みについて、「Made in Saudi with Japanという考えの下で新しい価値を作りたいと思っています。アニメやゲームのノウハウを日本から導入するだけはなく、サウジアラビアから世界に向けて新しい作品を発信していきたい。」と話す。サウジアラビアから日本アニメスタイルの作品を世に送り出すのが目標だ。
アリナトはサウジアラビアのメディア企業であるサウジ・リサーチ・アンド・マーケティング・グループの子会社。アニメーションやコミック、ゲームなどのビジネスを手がける会社として2016年夏に、同国の首都ジェッダに設立された。
公式サイトでは、『沙漠の騎士』のほか、3DのファンタジーやSFアニメーションも紹介されている。こちらのビジュアルはゲームにより近い。またコミックではサウジアラビアのサッカーチームを描いた『Ras Abu Qamis Team』がある。日本のアニメスタイルを取り入れたとするだけに、一見は日本の作品のように見え、ここからもアリナトの日本コンテンツへの関心が窺える。
イスラムの戒律が厳しいことで知られるサウジアラビアは、正規での日本ポップカルチャーの展開がほとんどない。一方で人口は約3000万人、世界有数の高所得国であり、広大なアラブ地域を背後に控える。現地の実情に合わせたオリジナル作品は意外に需要があるのかもしれない。
アリナトと協力したガイナックスは1984年に設立、『王立宇宙軍オネアミスの翼』や『新世紀エヴァンゲリオン』『天元突破グレンラガン』など多くのヒット作品を世に送り出してきた。その作品群は、日本だけでなく、世界中で人気が高い。
Desert Knight Trailer – デザートナイト予告編
https://youtu.be/j3nTqfMyCiw