大手広告代理店の電通が、次世代の映像テクノロジーとして脚光を浴びるVR(仮想現実)のビジネス開発の取り組みを進める。11月2日、同社はグループ横断型の新組織「Dentsu VR Plus」を立ち上げた。
新組織はVRにおけるソリューションサービスとビジネス開発を目指す。電通はこれまでグループ各社で個別にVRに携わってきたが、VR関連のビジネスの取り組みをより明確にする。
実際の事業は主に3分野から構成される。まずはVRを活用した広告ソリューション、そしてVRを活用した事業開発、最後にVR関連市場の創造と発展への貢献だ。
広告ソリューションは電通の得意とするところだろう。VR動画やVRツールの企画制作、VRを活用したキャンペーンやイベントの提案と実施をする。ビジネス開発は、企業向けにVRの活用に関するコンサルティングと開発支援を行う。また営利事業だけでなく、一般社団法人VRコンソーシアムと連携し、VR関連情報の発信も目指す。
今回とりわけ注目されるのは、VRの応用が進んでいる分野としてゲーム、エンタテインメントだけでなく、不動産、旅行、医療、スポーツ、教育などを挙げたことだ。VRの技術革新はあらゆる業界に影響を与えるという。
現在のVRブームのなかで、ゲームやアトラクション、映像エンタテイメントが大きく取り上げられる一方で、産業利用はやや見落とされがちだ。建設・不動産で完成後のイメージを体感するのは、VRが大きな力を発揮することが期待されている。医療の現場でも活用範囲は広い。今後予想されるマーケットの強大さも、大手広告代理店が乗りだす理由なのかもしれない。