■1年で契約世帯数200万増の急成長
2015年9月1日に日本に上陸、サービスを立ち上げた映像配信プラットフォームNetflixの勢いが、スタートから5年でさらに加速している。
9月7日、Netflixは「Netflix 日本ローンチ5周年オンライン記者説明会」を開催、このなかで日本国内での有料契約数が500万を突破したことを発表した。Netflix 最高執行責任者 兼 最高プロダクト責任者のグレッグ・ピーターズ氏のビデオメッセージで明らかにした。
Netflixは昨年(2019年)の9月にも都内で発表イベントを開催している。その際には契約数300万突破を発表していた。わずか1年で契約数で200万、70%近く伸ばしたことになる。
コンテンツ・アクイジション部門 ディレクターの坂本和隆氏は、契約の伸びはオリジナル作品数の増加、観られる番組の選択肢が増えたことなど、複合的な要因と説明する。昨今の環境によるエンタテイメント体験のデジタル化も、理由にありそうだ。これだけの数になれば、視聴者に対する影響力だけでなく、番組提供者やコンテンツパートナーに対してもより強くアピール出来るだろう。
■スタジオ機能を打ち出す、実写もアニメも
オリジナル作品はNetflixのビジネス拡大を牽引するが、その製作はさらに加速しそうだ。今回の発表ではNetflixは自社を配信プラットフォームだけでなく、“スタジオ”と定義づける場面が目立った。それは日本でも同様である。すでに日本発のオリジナル作品は実写とアニメを合わせて50作品を超える。
また今後は実写も目玉になりそうだ。アニメでは既にスタジオやクリエイターとパートナーシップを結ぶなど直接制作者につながるケースが増えている。加えて実写でもスタジオ機能を打ち出す。坂本氏はこれ第2ステップと説明し、2022年末までに15作品以上の日本の実写オリジナルを配信するとした。
今回の記者説明会には、実写ドラマ『今際の国のアリス』の佐藤信介監督をゲストに招きトークを実施した。実写分野でも大型番組が続くことをアピールする。
実写番組が増えるのは、2019年に配信された『全裸監督』のグローバルでの成功も理由にあるだろう。こちらはすでに2021年に第2シーズン配信が決まっている。企画から配信までに2年、3年の時間がかかることもあり、2021年以降に番組が増えるとみられる。
日本ローカルの制作が増えるのは、グローバルで番組が観られている実績があると考えてよいだろう。Netflixによれば6月に独占配信を開始したアニメ映画『泣きたい私は猫をかぶる』は、世界30ヵ国以上で映画トップ10にランキングされた。またアニメシリーズ『バキ』は世界約50ヵ国で総合トップ10にランキングした。日本だけでなく、グローバルで人気があるというわけだ。
Netflixの契約者数の伸びは北米で鈍化し始めており、新たな成長のためにより海外に目を向けている。その時に開拓の余地のあるアジアが、今後の大きな市場になるだろう。アジア地域で人気のある、可能性のある日本のコンテンツは、今後も重点分野のひとつになるのかもしれない。