中国の大手海賊版マンガサイトに有罪判決 集英社作品、雑誌発売前に掲載など

マンガ

 国内大手出版の集英社は、中国で同社のマンガ作品をインターネット上に無断アップロードしていた大手海賊版サイトが有罪判決を受けたと発表した。このサイトは「鼠絵漫画網」の名前で開設され、『ONE PIECE』など集英社の作品を中心に無断公開をしていた。
 発表によれば、上海市徐汇区人民法院は、2020 年4月 24 日にサイト運営者に対して、懲役3年(執行猶予 3 年)、罰金8万元(約 120 万円)の有罪判決を言い渡した。
 これとは別に集英社は、刑事裁判と並行してこの運営者と損害賠償請求に関する民事交渉も進めていた。運営者は侵害行為の非を認め謝罪文を提出、賠償金を支払うことで合意した。

 集英社が公開した、運営者謝罪の抜粋は以下のものになる。
  「これまでの拘留所での日々を経て、私は真剣に反省し、自分の過ちを深く認識し、(中略)侵害行為がもたらした悪影響について、心よりお詫びを申し上げます」

 「鼠絵漫画網」は2013 年頃に開設されたが、日本で「週刊少年ジャンプ」が発売される数日前に、掲載作品の中国語翻訳をサイト上に掲載していた。また掲載にあたり広告収益を得ていた。ユニークユーザーはおよそ40 万人になったとしている。集英社では、侵害規模は甚大で非常に悪質であったとしている。
 2019年10月30日に上海市公安局奉賢分局により逮捕され、その後裁判が進められていた。

 海外における日本マンガの読者はデジタル配信の普及もあり、引き続き拡大していると見られている。一方で、世界の多くの地域でデジタル海賊版の被害も大きくなっている。
 近年は海賊版に対抗する正規配信の取り組みも活発化している。ユーザーを正規版に誘導するために、海賊版撲滅対策、そしてリーガルアクションも必要とされている。今後もこうした動きは、さらに進みそうだ。

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