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朝日放送、米国の配信「QUIBI」に投資 当初33億円、最大220億円
- 2020/3/29
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大阪に本社を持つ朝日放送が、動画配信ビジネスへの大型投資へ矢継ぎ早に動く。持株会社の朝日放送グループホールディングスは、2020年3月25日、米国でのベンチャー投資ファンドを目的とした新会社Pegasus Tech Ventures Company Ⅲ, L.P.(ペガサスファンド)を設立した。
ペガサスファンドは4月に新たにスタートするショート動画の映像プラットフォーム「QUIBI」を運営するQUIBI Holdings, LLC.に投資する。ファンドは朝日放送が99%を出資、シリコンバレーの投資会社Pegasus Tech Ventures Managementが1%出資する。当初出資金の3000万ドル(33億円)のほぼ全額を朝日放送グループが負担することになる。また最大で2億ドル(220億円)まで出資枠を拡大できる。かなりの大型投資だ。
QUIBIはハリウッドの大物事業家ジェフリー・カッツェンバーグが創設、CEOにはイーベイとヒューレット・パッカードのCEOを歴任したメグ・ホイットマンが就任する大型ベンチャーである。NetflixやAmazonプライム・ビデオ、Disney+などがひしめく米国動画配信業界に打って出る。カッツェンバーグはかつてドリームワークスを立ち上げた実績もあるだけに、米国エンタテイメント業界から動画配信の台風の目と関心を集めている。
QUIBIの特徴は、モバイルなどでは再生時間の短い動画が好まれるとして、ショートコンテンツに特化することだ。ビジネスはサブスクリプション(定額課金)モデルを取っており、広告付きで月4.99ドル、広告なしの場合は7.99 ドルとする。有料コンテンツに相応しいコンテンツを提供するために、すでに多額の制作資金を投じている。
朝日放送グループは出資を通じて、Quibiと戦略的な関係構築に向けた協議に入る予定だ。同社は総合コンテンツ事業グループを掲げた取組みを積極化している。自社コンテンツでの協力も視野に入れていそうだ。
朝日放送グループは、キャラクター・アニメーション制作のDLEを2019年に子会社化している。DLEはショートアニメを得意としており、こうした部分での協力も期待できるかもしれない。
朝日放送グループは、3月23日に別の発表もしている。こちらは国内で、西日本電信電話と共同出資でスポーツ映像配信に特化した配信事業サービスのNTT Sportictを4月1日に設立するものだ。国やビジネス形態は異なるが、いずれも放送局による配信ビジネス進出になる。
国内放送局は放送エリアや資本、経営統合などの規制があり、これまで関西地区の放送局は首都圏放送局の後塵を拝することが多かった。しかし同じ番組ビジネスでも、配信では地域による規制はない。動画配信の普及は放送局に不利とされることが多い。しかし、朝日放送グループは、逆に事業環境の変化を積極的な事業展開に活かそうとしているようだ。