スクウェア・エニックスが東京藝大大学院ゲームコースに講師派遣 次世代に知識を継承
- 2019/11/10
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スクウェア・エニックス・ホールディングス(スクウェア・エニックスHD)が、東京藝術大学とゲーム開発教育を通じた産学協同に取り組んでいる。2017年度に開始した連携を2019年度後期からさらに進める。
今年度後期から大学院映像研究科が新設したゲームコースへの講師派遣を始める。ゲームコースが「芸術と情報」と題した科目を設け、この講義にグループ各社のプロデューサーやクリエイターを講師として派遣している。
該当科目は桐山孝司教授が担当し、後期の毎週水曜日に開講される。“ゲーム開発”をテーマにし、第1回は取締役ゲームデザイナーの吉田直樹氏が担当した。さらに各分野の専門家が並ぶ。
「ゲームグラフィックスとキャラクター表現」はLuminous Productions リード3Dキャラクターアーティスト 黒坂一隆氏、「芸術と人工知能」はスクウェア・エニックス リードAIリサーチャーの三宅陽一郎氏、「ゲーム開発とR&D」は同R&Dテクニカルプロデューサーの長谷川勇氏、「ゲームにおけるサウンド」は同サウンドディレクターの矢島友宏氏、「ヴィジュアルワークス」は同ヴィジュアルワークス部 チーフクリエイティブディレクターの生守一行氏、「ローカライズ」は同シニアローカライズリード(EN)のマイケル・クリストファー・コージ・フォックス氏。そして「ゲームデザイン」はLuminous Productionsゲームデザイナーのサン・パサートウィットカーン・パサート氏が担当する。2020年1月8日以降の講義は、今後決定する。
スクウェア・エニックスHDと東京藝術大学の協力は、2017年度の企画がスタートになっていた。「東京藝術大学にゲーム学科ができたとしたら」と想定したうえで、東京藝術大学COI拠点・大学院映像研究科と当社が協力した期間限定のゲーム学科を立ち上げた。
その後はアニメーションをゲームに展開する「A to G プロジェクト」や『ファイナルファンタジーXV』の制作プロセス展示も実施している。
2018年度には「東京藝術大学ゲーム学科第0年次展」と題した展示会を行っている。こちらは「A to Gプロジェクト」の成果を披露するものである。
「A to G プロジェクト」は、ゲームとアニメーションの創作プロセスに「世界観を先に作る」といった共通に着目したものだ。大学院映像研究科が制作したアニメーションから数作品を選び、大学院の学生とLuminousのクリエイターが議論を重ねる。さらに外部のアニメーション監督やエンジニアの協力を得ながらそれらをゲーム化する。
東京藝術大学が今年度から大学院映像研究科にゲームの知識を専門的に学ぶゲームコースが開設したのをきっかけに、こうした取り組みさらに広げる。
スクウェア・エニックスHD代表取締役社長・松田洋祐氏は、東京藝術大学との取り組みを通じて、学術・芸術分野との連携を強化し、グローバルに活躍出来る人材を育成したいとしている。
また東京藝術大学副学長(国際・ダイバーシティ推進担当)の岡本美津子氏は、同大学院がゲームコースを開設した理由を「ゲームを芸術の一分野として捉え、研究や作品制作を通してゲームの可能性を開拓することを目指しています」と説明する。またスクウェア・エニックスHDとの協力については、「ゲーム制作の第一線におられるプロデューサー、クリエイターに講師として来ていただくことで、制作の現場で培われた知識を大学の環境の中で次世代に引き継いでいくことを意図しています」とする。現場と学びが直接結びつくことで起きる効果に期待している。