東京藝術大学大学院にゲームコース開設 USCやスクエニも協力

学問

 国立大学としては初となるゲームを学問として学ぶコースが、2019年4月より東京藝術大学大学院に設置される。2018年10月30日、東京藝術大学より発表された。
 ゲームコースは、横浜・馬車道に校舎を持つ映像研究科の中に設けられる。ゲームを芸術の一分野と捉えることで、ゲーム制作だけでなく研究もする。ゲームの可能性や映像表現のフィールド拡大を目指す。近年、ますます重要となってきたゲームのアカデミック分野での活動を支える大きな力となりそうだ。

 それだけに教育プログラムの内容も関心を集めることになる。2019年4月は、大学院映像研究科のアニメーション専攻とメディア映像専攻の中でのコースとなる。そのなかでゲームに関連する講義や演習が設けられる。学生は修士課程として、ゲーム作品の制作や研究をする。
 またこの分野ですでに大きな実績を持つ米国の南カリフォルニア大学(USC)映画芸術学部インタラクティブメディア&ゲーム学科、メディアアート+プラクティス学科との協力も活用する。USCとの共同授業や、USCの教員による作品指導、さらにUSC学生とのコラボレーションもする。USCとの連携は「日米ゲームクリエイション共同プログラム — メディア革新時代の新しいアーティスト育成 —」として5年間を予定している。
 また国内のゲーム産業界とのつながりも活かす。世界有数のゲーム会社であるスクウェア・エニックスなどのビジネスの現場で活躍する講師を実現し、共同研究なども推進する。

 東京藝術大学大学院映像研究科は、2005年に設立された同大学のなかでは比較的新しい。現在は映画専攻、メディア映像専攻。アニメーション専攻の3つから構成されている。それまで絵画・彫刻・工芸などの美術と音楽の2本柱であった東京藝術大学に、3つめの柱として映像系分野を加えることで大きなインパクトを残した。ここにさらにゲームが加わる。
 ただし今回はメディア映像専攻とアニメーション専攻にまたがるややイレギュラーなかたちとなっている。今後はゲーム自体が独立したコースとなることが期待される。
 世界の芸術系総合大学では、美術、音楽だけでなく、映像、インタラクティブメディア、舞台芸術をカバーすることが常識になりつつある。そのなかで東京藝術大学は一歩出遅れた感もあった。映画、メディア映像、アニメーションにゲームが続くことで、ようやくそれを取り戻しに入ったようだ。

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