アニメ事業大手のIGポートは2019年10月11日に、2020年5月期第1四半期の決算発表をした。前期はアニメーション制作事業の収支で苦しみ通期赤字と厳しい業績であったが、今期は順調なスタートを切った。
連結売上高は前年比6.9%減の19億7500万円だったが、営業利益は1億4100万円のマイナスから1億7100万円のプラスに浮上した。経常利益と当期純利益も、それぞれ1億4500万円、1億3400万円の赤字から1億6900万円、9100万円の黒字に転じた。
IGポートは前期末にグループ会社ジーベックのアニメーション制作事業を売却している。それを考慮すれば売上げも堅調と言っていいだろう。
順調に転じたのは、映像制作事業の黒字転換が大きい。同事業の売上高は13億1900万円(17.7%減)、営業利益は1億2500万円(前年同期は6100万円の損失)。
引き続きCG制作費や外注費は高騰し、制作期間も長期化している。ただし納品作品に収支改善がみられたとしている。これまで言及されてきた現状にあった制作費の交渉が進みつつあるようだ。期間中の主力作品は、プロダクションI.G制作の『歌舞伎町シャーロック』、WIT STUDIO制作の『ヴィンランド・サガ』、さらに『真・中華一番!』などだ。
版権事業の主力タイトルでは『銀河英雄伝説 Die Neue These』、『宇宙戦艦ヤマト』、『進撃の巨人』、『B: The Beginning』、『風が強く吹いている』があがった。二次利用による収益分配が中心だ。
売上高は3億6500万円(71.4%増)と急伸した。減価償却費が前年同期より1億4100万円減少したことから、営業利益は黒字転換し1億2300万円となった。製作投資は一息をついたかたちである。
一方で出版事業は赤字であった。売上高は2億4000万円(6.0%増)、営業損失が2000万円。コミックの販売月の変更による出版売上の減少と、マンガアプリへの先行投資が影響した。主力タイトルは『リィンカーネーションの花弁』、『転生貴族の異世界冒険録』が挙げられた。
第1四半期は前年同期比で減少となったが、IGポートでは通期では22.2%増の大幅増収を予想している。連結売上高は108億3900万円を予想する。今後大型タイトルが完成、納品される可能性がありそうだ。
また営業利益は2億2100万円、経常利益は2億2000万円。さらに当期純利益も1億3800万円と安定した業績予想をしている。