プロダクションI.G 動画配信アプリ「アニメビーンズ」で新しいビジネスモデル挑戦

スマートフォン

 アニメ会社プロダクションI.Gが2017年6月にスタートした動画アプリ「タテアニメ」が、このほど全面的にリニューアルした。6月8日から新サービスの「アニメビーンズ」に移行した。
 視聴に利用するアプリ自体が、新しくなる大規模な変更だ。新アプリはiOSとAndroidの双方で提供、さらに無料の視聴だけでなく一部課金制も導入した。IT業界でも注目される課金システムを取り入れることで、これまで判り難かったビジネスモデルが見えてきた。
 新しいサービスでは、通常より早く作品を見るための有料課金が導入された。「タテアニメ」が特長としてきたスマホの画面のかたちに合せた縦型作品だけでなくヨコアニメ枠も設ける。これらが有料課金の対象となる。

 動画配信市場の急激な成長もあり、近年アニメを配信するサービスでは新規参入が相次いでいる。しかし「タテアニメ」は、そのなかでも異色の存在だ。
 ひとつは大手アニメスタジオであるプロダクションI.Gが自らアプリを開発し、配信プラットフォームを運営していることである。スマホ向けの作品とすることで、動画アプリが独自のプラットフォームになり、作品づくりだけでなく、その流通も自らコントロールする。
 さらにスマホに特化することで、手元で見やすい縦長スクリーンのアニメを作り、ビジュアルでもこれまでにないかたちを目指す。作品はスマホならではの数分のショートアニメが並ぶ。
 現在まですでに26タイトルを投入。このうち23作品は「アニメビーンズ」の独占配信で、人気マンガを原作にするなどラインナップも充実する。

 これまでの「タテアニメ」は無料配信のため、売上回収の仕組みが見えづらかった。しかし「アニメビーンズ」では、新作タテアニメは通常は一定期間後に全話無料となるが、課金をすればより早く新エピソードを視聴できる。この仕組みは現在はスマホアプリのマンガなどで多く利用されている。海外では映像作品でも同様の仕組みがあるが、「アニメビーンズ」はいち早くこれに挑戦する。
 アニメ会社がIT業界の新しい仕組みを取り入れ、自分でコンテンツを流通させる。そんな試みが今後どのように展開するのか、同業他社からも関心を集めそうだ。

「アニメビーンズ」
https://www.animebeans.com/

関連記事

アーカイブ

カテゴリー

ピックアップ記事

  1. 第2回新潟国際アニメーション映画祭
     今年3月に初開催されて話題を呼んだ新潟国際アニメーション映画祭が、2024年3月に第2回を迎える。…
  2. 「アニメーションの表現」
     2023年10月23日から11月1日まで開催されている第36回東京国際映画祭は、昨年より上映本数、…
  3. 『いきものさん』© 和田淳・ニューディアー/東映アニメーション
     日本を代表するアニメーション作家として、いま“和田淳”を筆頭に挙げる人は多いだろう。2010年に『…
ページ上部へ戻る