総合商社大手の住友商事が、中国でのアニメ、映画事業に乗り出すことになった。2018年3月20日に、同社は中国・香港のメディア企業である大地メディアグループの驚奇大地動漫(香港)有限公司と共同でSC大地エンターテインメント株式会社を設立すると発表した。両社の出資で、今年4月に設立する予定だ。
驚奇大地動漫はコンテンツ開発の事業会社。住友商事は新会社を通じて中国市場でのアニメ・映画の企画・開発を手がける。また作品の海外展開を目指す。
中国のアニメーション、映画などの市場は、米国に次ぐ世界第2位の規模を誇る。住友商事によれば、20代から30代を中心に日本アニメに対するニーズが高い。日本アニメとその関連商品のニーズは今後も拡大すると見ている。そこで中国の大手企業と手を組むことで、日本企業の参入ハードルが高いとされる同国のエンタテインメント市場への進出を図る。
大地メディアグループは、中国の大手映画・コンテンツ事業者。中国で最大級のシネコンチェーンを運営している。興行力を背景に映画の製作や配給事業も手掛け、現在はコンテンツへの投資も積極的だ。こうしたなかで日本企業と組むことで、より多様なコンテンツの開発を確保する狙いとみられる。
SC大地エンターテインメントの開発するコンテンツは、ふたつの方向性がある。ひとつはマンガや小説、ゲームなどを原作とするアニメーションと映画になる。さらにオリジナルコンテンツの企画・開発も目指す。
映像だけでなく、商品化といった関連事業から収益化を視野に入れている。海外展開にも言及しており、中国市場だけでなくグローバルのマーケットを狙う。ここでは住友商事が得意とするグローバルネットワークが活かされそうだ。
住友商事は近年、アニメをはじめとする映像コンテンツ事業を強化している。出資会社ジュピターテレコムを通じて映画会社アスミック・エースに関わり、映画やアニメ製作に進出する。さらに米国の日本アニメ配信の大手クランチロールとは、アニメ製作出資ファンドを組んでいる。クランチロールを保有するメディアコングロマリットのチャーニングループとも提携する。
クランチロールとの提携では北米市場に目を向けていたが、大地メディアグループとは新たに中国市場を視野に入れる。住友商事は、世界二大市場でのビジネスの基盤を持ったことになる。
SC大地エンターテインメント株式会社
設立年: 2018年4月(予定)
株主構成: 住友商事、驚奇大地動漫(香港)有限公司