2018年2月15日より世界三大映画祭のひとつ第68回ベルリン国際映画祭が開幕した。世界のトップクラスの映画が並ぶこの場で、日本のアニメーション映画のビッグなニュースが飛び出した。日本では2018年7月20日に全国公開する細田守監督の映画『未来のミライ』の米国公開が早くも決定した。
本作の北米配給権をスタジオ地図から獲得した映画配給会社GKIDSが明らかにした。2018年秋に字幕版と吹替え版のふたつで公開する。
『未来のミライ』は、『バケモノの子』『おおかみこどもの雨と雪』『時をかける少女』などのヒット作でお馴染みの細田守監督の最新作。4歳の男の子を主人公に家族とエンタテインメントを描く。
昨年12月の製作発表記者会見にて、アニメーション制作をするスタジオ地図の齋藤優一郎プロデューサーは、「海外ファンに向けた施策を積極的に打つ、映画公開をすることにこだわる」としていた。早くもそのひとつが明らかになった。
GKIDSは米国に拠点を持つ映画配給会社で、良質な映画、特にアニメーション映画を数多く手掛ける。作品ラインナップの確かさに定評がある。それは2009年から16年までの8年間で、アカデミー賞長編アニメーション部門に、『かぐや姫の物語』、『思い出のマーニー』を含む9作品のノミネートを送り出したことでも分かるだろう。2017年についても、アニー賞最優秀長編アニメーション賞(インデイペンデント)を受賞した『The Breadwinner』がアカデミー賞の有力候補に挙がっている。
かつては都市部を中心の小規模公開の配給会社とのイメージも強かったが、近年は配給網の強化が進んでいる。最新作『メアリと魔女の花』では北米573スクリーンの上映を実現している。ニューヨーク国際こども映画祭や、アートアニメーションを中心としたANIMATION IS FILM映画祭も主催する。海外のアニメーション映画が米国で評価を獲得し、アカデミー賞をはじめとする賞レースに加われる最も近い場所にある配給会社がGKIDSである。
そうしたGKIDSが日本公開から5ヶ月も前に配給権を獲得。さらにベルリン国際映画祭の場でそれを発表するのは、『未来のミライ』と細田守監督に極めて高い評価をしていると言っていいだろう。
2018年秋公開の実現も大きなニュースだ。日本公開が7月20日だから、そこかららわずか数ヵ月後に北米公開が始まることになる。競争が激しい米国映画興業で、日本映画を公開するハードルは現在とても高い。公開が実現しても日本での上映から1年以上遅れることが大半だ。
しかし『未来のミライ』では、公開前の配給権獲得で、日本とほとんど時差を設けることがなく、米国ファンも作品への熱気が共有できる。
日本のファンだけでなく、世界のファンにもよりよい映画の体験を届けたい。細田守監督、そして製作チームの熱気が伝わってくる。
『未来のミライ』 http://mirai-no-mirai.jp/