KADOKAWAがアニメホテル、空港アニメ施設から撤退 集客に苦戦

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 エンタメ大手のKADOKAWAが、アニメをコンセプトにした2つの観光事業から撤退することを決定した。2023年3月30日、KADOKAWAは東所沢の ところざわサクラタウン内にある「EJ アニメホテル」と成田空港のターミナルビルに設けられた物販・飲食施設「成田アニメデッキ」の営業を終了すると発表した。
 いずれも想定された収益を確保できなかったとみられる。最終営業はEJ アニメホテルが5月31日、成田アニメデッキは6月30日となる。
 KADOKAWAによれば、開業以来集客に苦戦し、ホテルについては客室の稼働率が当初の期待通りに進捗しなかったとしている。採算改善計画を実行したとしても、将来にわたる収益確保は困難であると判断し撤退を決断した。

 EJ アニメホテルは、KADOKAWAがポップカルチャーの発信拠点として埼玉県所沢市で開発し、2020年にオープンした「ところざわサクラタウン」の中核施設のひとつである。「好きな物語に、泊まる。」をコンセプトにしていた。人気アニメやマンガ、ゲームなどとのコラボレーションや充実した音響・映像設備も売りだった。
 しかし開業時期がコロナ禍と重なったことも経営にマイナスに働いた。都心部から離れた利便性の難や客室数が33室とコスト高になっていたことも今後の収益が見通せない理由になったとみられる。
 
 一方、成田アニメデッキは、KADOKAWAとアニメツーリズム協会、成田国際空港の3社の共同プロジェクトとして2019年11月に開業した。成田国際空港 第2旅客ターミナル本館2階に760㎡のスペースを取り、グッズ販売、レストラン、エンタテインメントカフェの3つの店舗から構成されていた。こちらも翌年からコロナ禍が始まるなど環境の激変に影響を受けた。
 アニメツーリズム協会は、協会が進める「訪れてみたい日本のアニメ聖地88」の中で成田国際空港を聖地の出発点して「0番札所」に定めている。アニメデッキとも連動した展開もしていただけに、同プロジェクトにとっても撤退は痛手になりそうだ。

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