東宝第1Qは増収増益、アニメ関連は「ウマ娘」の反動が影響

ファイナンス決算

 映画事業大手の東宝は2023年2月期第1四半期(22年3月~5月)の業績を、2022年7月12日に発表した。連結売上高は618億6500万円、営業利益は142億7300万円、当期純利益は115億1600万円。
 今期より支払いが完了する以前でも、売上げが見込まれると認識された段階で収益を計上する会計基準を導入している。このため前年同期比の収益は公表されていないが、金額だけの比較では売上高は7%増、営業利益35.7%増、経常利益は45.9%増、当期純利益は72.3%増と業績が拡大傾向であることが分かる。映画業界全体が前年より上昇基調にあることを反映していそうだ。

 映画営業事業は収益認識会計基準の適用によりマイナスになったが、利益は大幅に拡大している。定番アニメシリーズの貢献が大きかった。
 映画館を運営する映画興行事業での興行収入は売上げ157億200万円と前年比で46.5%増と高い伸びになった。また配給作品では、東宝配給の『名探偵コナン ハロウィンの花嫁』(90.5億円)、『シン・ウルトラマン』(40.8億円)、『映画ドラえもん のび太の宇宙小戦争 2021』(26.5億円)、東宝東和配給の『SING/シング:ネクストステージ』(33億円)、それに東和ピクチャーズ配給の『トップガン マーヴェリック』(71.3億円)が好調だったとしている。(いずれも興行収入は6月末段階)
 
 アニメ事業は前期から引き続き劇場上映された『呪術廻戦』『僕のヒーローアカデミア』、それに4月期の新番組『SPY×FAMILY』などが主力作品。『劇場版 呪術廻戦 0』は国内で興行収入137.5億円を記録したほか、海外でも114億5000万円と国内に匹敵する数字を残している。アニメ事業はこれらの作品への製作出資による作品展開や配分金収入などが売上げの中心となっている。
 しかしアニメ事業やパッケージ販売など含む映像事業全体では、売上高は104億6100万円と前年同期の124億8100万円、営業利益は23億4000万円(同30億8200万円)と減収減益だ。前年同期に大ヒットになった『ウマ娘 プリティーダービー Season 2』の映像ソフトに対する反動の影響が大きかった。

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