TBSがアニメ制作セブンアークスに25億円投資、3Dや人材強化

ファイナンス決算

 放送局大手のTBSがアニメ事業の拡大強化に動く。TBSホールディングスの佐々木卓社長は2022年1月4日の新年挨拶で、アニメ投資の本格化を打ち出した。
 グループ会社のアニメーション制作会社Seven Arcs(セブンアークス)に25億円を投資して、3Dや人材を強化する。グローバルに通用する高品質、ハイエンドな作品を制作する体制を構築する。

 これはTBSが2021年に打ち出す中期経営計画「VISION 2030」の一環である。「VISION 2030」ではコンテンツ拡張戦略「EDGE」を掲げて、とりわけコンテンツ創出を強く打ち出している。
 このなかで現在進む3つの主要なプロジェクトが「海外戦略のための新しい会社を作る」「緑山(横浜市)に“世界標準”に対応できるスタジオを作る」「アニメへの投資を本格化する」である。

 セブンアークスは2000年に前身となる会社が設立された。アニメーション制作では『魔法少女リリカルなのは』、『DOG DAYS』などの代表作がある中堅スタジオである。2017年にTBSホールディングスがグループ会社の株式を取得して完全子会社化している。TBS傘下では『ブルーピリオド』、『トニカクカワイイ』、劇場映画『劇場版 トリニティセブン -天空図書館と真紅の魔王-』などを制作する。
 現在の制作は年数本ペースであるため25億円はかなり大きな投資になる。投資目的になるデジタル化と人材は各社が火急の課題として取り組んでおり、大型投資でいっきに事業の拡大を狙う。
 またグループの中核であるTBSテレビにとっても、アニメ事業の売上高は2021年3月期5億9000万円、20年3月期で9億300万円と必ずしも大きくない。セブンアークスとの連携でこちらの成長を目指すことになりそうだ。
 TBSだけでなく放送各社は、現在グローバル展開できるアニメ関連ビジネスの拡充に動いている。そのなかでTBSが先行する他局にどれぐらい迫れるのか、今回の投資は鍵になりそうだ。

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