「海賊王女」21年晩夏に世界リリース クランチロール&Adult Swimオリジナルアニメ
- 2021/6/18
- フォーカス
米国の配信会社クランチロールとCATV局Adult Swimが共同で取り組んできたオリジナルアニメ『海賊王女』が、2021年夏後半に世界リリースされる。6月16日に、フランスで開催されているアヌシー国際アニメーション映画祭の「Work in Progress」での同作品のオンラインセッションで明らかにされた。
グローバル向けの配信プラットフォームを持つクランチロールが日本語音声(英語字幕)で配信。これとは別に米国ではAdult Swimのアニメ放送枠「Toonami」で放送される。こちらは英語吹き替えとなる。日本での放送媒体は今回未発表だったが、2021年10月からとしている。
『海賊王女』は日本のアニメ製作会社プロダクション I.Gが2020年7月に制作発表したオリジナルのシリーズアニメだ。原作をプロダクション I.Gと監督も担当する中澤一登が務める。プロダクション I.Gは『攻殻機動隊 STAND ALONE COMPLEX』などでも知られる老舗スタジオで、中澤は『KILL BILL Vol.1』や『B: The Beginning』といった話題作の監督、さらにアニメーターとしても数々の実績を重ねている。国内を代表するアニメのクリエイターである。
『海賊王女』は18世紀の大西洋の大海原が舞台。事故からシャングリラと呼ばれる島に漂着し、そこで成長した少女・フェナは島からの脱出。そこで兜と鎧を纏った東洋人に出会う。それはやがて“エデン”を巡る壮大な冒険へとつながっていく。
アヌシー国際アニメーション映画祭のセッションでは、中澤一登監督と黒木類プロデューサーがオンラインで作品の企画の成り立ちや制作について、イメージボードやここで初めて公開される予告編などと共に紹介した。
中澤監督によれば作品のアイディアは、大乱戦の戦国時代後、江戸の太平に移る中で、戦いを職業として来た人々が傭兵として海外に活躍を求めた歴史に興味を惹かれたことがきっかけだった。一方で作中に登場する出来事やキャラクターは事実に基づいたものでないため、ストーリーはファンタジー的なところも大きい。
また主人公が少女であることについて、自身のクリエイティブにおける少女漫画の影響を語った。本作企画にもそうした背景が影響しているというのだ。
トークの端々からは、アニメーション制作への力のはいり具合が感じられた。そのひとつは入念なロケハンである、クロアチアのドブロブニクやスコットランドのエジンバラなど、シリーズアニメとしてはかなり多くの場所に時間をかけて訪れたという。綿密な取材が作品の表現を引き上げているというわけだ。
それだけにクランチロールとAdult Swimの本作にかける期待も大きそうだ。映像の初出しの場を、日本のアニメに多いアニメコンベンションではなく、オールジャンルの世界のアニメーションが取り上げられる映画祭にした理由もあるだろう。
世界有数のアニメ配信プラットフォームであるクランチロールにとっては勝負作だ。また作品を制作するプロダクション I.Gにとってもビッグプロジェクトと言っていいだろう
『海賊王女』
https://fena-pirate-princess.com/
原作:中澤一登×Production I.G
監督:中澤一登
脚本:窪山阿佐子
音楽:梶浦由記
音楽制作:FlyingDog
アニメーション制作:Production I.G