「配信とアニメ」で利益全体の4割目指す、テレビ東京HD中期経営計画の重点事業に

ファイナンス決算

 テレビ東京ホールディングス(テレビ東京HD)は数ある放送局のなかで、アニメビジネスの開拓に最も成功した局だろう。2021年3月期決算ではアニメ事業の売上高は228億8000万円になった。国内でも有数のアニメ企業と言える規模だ。過去10年間でアニメ事業の利益は約7倍にもなっている。
 こうした実績をもとにテレビ東京HDは、さらにアニメ事業の拡大を目指す。2021年5月13日に同社が発表した「2021 中期経営計画」では、今後3年間の最重要テーマとして「配信とアニメ」を掲げた。両分野で粗利益を50%増やすという。
 数値目標は21年3月期の連結売上高1390億円を23年3月期に1468億円、営業利益を550億円から880億円に伸ばすとしている。このなかでアニメに期待される部分が大きくなる。

 アニメ事業への期待の大きさは、近年の成長スピードの高さにある。2013年3月期に70億円だった売上は直近で228億円、3倍以上に拡大した。『NARUTO』や『ポケットモンスター』、『遊戯王』といったヒット作があったのに加えて、積極的な海外展開、そして世界的な配信の普及が成長を牽引した。直近で海外売上比率は75%に達した。配信権販売の占める率が高い。
 今後は市場の拡大が続く中国がまず重点地域になる。直近で現地制作体制を築いた。さらにヨーロッパ、北米、中東、中南米でも販路拡大や商品化ビジネスの強化を目指す。

 配信も、事業拡大の布石を打つ。配信とマーケティングの新組織を作ることで、事業体制を大幅に強化する。さらにテレビ放送の同時配信を加速するとしている。
 これまでライツ事業の売上はアニメが8割を占めていたが、国内外で配信市場は急拡大しており、今後はアニメ以外でも大きな成長が見込める。そした変化を視野にいるとみられる。
 テレビ東京HDは、配信とアニメの粗利益全体の40%にあたる150 億円強の利益を目指す。この5月には放送大手の通期決算発表が相次ぐが、どの局もテレビ放送に捉われない多角化を中長期の方向性として打ち出した。そのなかでテレビ東京HDは配信とアニメに成長の的を絞ったかたちだ。
 アニメ・コンテンツの重視は。人事政策にも表れている。5月13日に発表された役員異動では、コンテンツ統括局長・コンテンツ統括局長・、コンテンツ統括会議議長の松本篤信氏が常務取締役・から専務取締役に、アニメ・ビジネス統括の川崎由紀夫氏が取締役から常務取締役に昇格を明らかにしている。

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