デル・トロ監督が「ピノキオ」、コマ撮りアニメーション映画でNetflixオリジナル


 『パシフィック・リム』や『シェイプ・オブ・ウォーター』などジャンルを超えた活躍で世界的に注目されるギレルモ・デル・トロ監督が、次回作で長編アニメーション映画に進出する。しかも作品発表の場は、映像配信のグローバルプラットフォームNetflixになる。
 Netflixはデル・トロ監督による長編アニメーション『ピノキオ/Pinocchio(原題)』の近日独占配信を明らかにした。また主要キャラクターの声優キャストも発表した。ピノキオ役は新人のグレゴリー・マンを起用する一方で、コオロギのジミニー・クリケット役にユアン・マクレガー、ゼペットじいさん役にデヴィッド・ブラッドリーと実力派を配置する。このほかティルダ・スウィントン、クリストフ・ヴァルツ、フィン・ヴォルフハルト、ケイト・ブランシェットと豪華だ。

 Netflixは昨今、日本のオリジナルアニメへの積極的な投資により国内で関心を集めている。しかしアニメーションの人気は日本国内、日本産だけに限らない。Netflixはキッズ向けからファミリー向け、ヤングアダルト向け、アダルトコメディと幅広いアニメーションに注力する。配信ラインナップの重要なジャンルなのである。
 なかでも2019年から注目が増しているのが、オリジナルの長編映画だ。2019年のアカデミー賞にもノミネートされた『クロース』で本格的にスタートを切り、2020年8月には3DCGのSF映画『Fearless』を配信する。劇場公開予定であった日本の『泣きたい私は猫をかぶる』も公開延期のタイミングで素早く独占配信権を獲得している。
 今後も米中合作の『Over the Moon』、世界的に高い評価を得ているカートゥーンサルーン制作の『My Father’s Dragon』、アードマンによるオリジナル新作『ROBIN ROBIN』などを予定している。ピクサー、ディズニー、ブルースカイ・スタジオと3つの有力アニメーションスタジオを抱えるライバルのDisney+に対抗する狙いもありそうだ。

 なかでもNetflixのキラータイトルになりそうなのが、このデル・トロ版『ピノキオ/Pinocchio(原題)』である。映像化にあたっては、デル・トロ自身が製作・監督・脚本の全てを担当。これはアカデミー賞4部門を受賞した2017年の『シェイプ・オブ・ウォーター』以来となる。その力の入り具合も窺える。
 実際にいまから130年以上前にイタリアで出版された『ピノッキオの冒険』の映画化は、デル・トロの悲願だったという。本作は有名なウォルト・ディズニーの長編アニメーションをはじめ数え切れないほど映像化されたが、今回はストップモーション・アニメーションで挑む。
 このため『ファンタスティック Mr. FOX』でストップモーションに経験があるマーク・グスタフソンが共同監督に就いた。またマペットやアニマトロニクスで定評のあるジム・ヘンソン・カンパニーも制作に参加する。デル・トロの独自の世界観がどんな人形になっていくのかも興味深い。
 鬼才・デル・トロによる長編ストップモーション・アニメーション、そして配信での世界独占リリース。世界の映画界で話題作になるのは間違いないだろう。

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