2019年の映画興行の盛況に後押しされて、映画各社の業績が好調を続けている。なかでも業界最大手の東宝は、2020年2月期第3四半期(19年3月~11月)の決算が第3四半期としては過去最高を記録した。
連結売上高は2011億2600万円の6.7%増、営業利益は428億6600万円(20.6%増)、経常利益は443億4500万円(20.3%増)、当期純利益は294億7300万円(23.7%増)となった。こうした業績を背景に、今期の株式配当を当初予想の1株35円を55円に引き上げた。これは前期の45円を上回る。
東宝は年間配当は35円をベースに、業績が予想や目標を上回った際にそれと連動するかたちで追加する方針としている。今期は映画事業の好調に加えてで演劇事業、不動産事業も順調で、通期で当初予想を大きく上回る利益が達成できる見通しとなったためだ。
映画事業は売上高1345億4000万円(9.2%増)、営業利益が285億4300万円(24.7%増)だ。自社製作の『天気の子』が興行収入140億円のメガヒットとなったほか、『記憶にございません!』、『かぐや様は告らせたい~天才たちの恋愛頭脳戦~』がヒットになった。
興行部門も好調で、他社作品からも『アナと雪の女王2』、『ジョーカー』などが高稼働となった。売上高で14%、営業利益では31.1%増になっている。
映像ソフトやODS興行、アニメ製作、出版・商品の映像事業も、売上高235億1900万円(0.8%増)、営業利益50億9300万円(24.5%増)と増収増益。ただし実写製作(86.3%増)、、ODS(91%増)、出版・商品(16.7%増)の伸びは大きかったが、アニメ製作は68億5300万円(2.5%減)と伸び悩み、パッケージ事業は50億2500万円(30.2%減)と伸び悩んだ。
演劇事業の売上高は前年並みの128億4800万円(0.6%減)だったが、営業利益は32億2100万円と34.9%増となった。帝国劇場の『DREAM BOYS』、『Endless SHOCK』が全席完売、シアタークリエの『ジャニーズ銀座2019 Tokyo Experience』完売など、広い興行で満席が続いた。
不動産事業は売上高501億8400万円(2.6%増)、営業利益は137億2400万円(同6.9%増)。東京・日比谷の「東宝ツインタワービル」が再開発に入るためテナント退去の影響はあったが、道路事業などでカバーした。