新進のアニメ会社が手を組んで業界に新風を巻き起こしそうだ。アニメ企画・制作のWHITE FOXと企画・プロデュースのEGG FIRMが共同出資したアニメーション制作会社である株式会社スタジオバインドが設立された。10月18日に製作発表された2020年放送予定のTVアニメシリーズ『無職転生 ~異世界行ったら本気だす~』を手がける。
自社で多くのアニメーション制作をしてきたWHITE FOXにとっては、新たなアニメスタジオとなる。EGG FIRMにとってはアニメーションの実制作に進出するのは初だ。両社によれば新会社の設立は原作の人気が高い『無職転生 ~』のアニメ化にあたり、プロジェクトを継続的、長期的、計画的に進めていく体制が必要と判断したためである。
スタジオバインドは2018年11月に設立されている。代表取締役プロデューサーにはゴンゾ、エイトビットで経験を重ねた大友寿也氏が就任している。
これまで他社元請作品の制作を協力してきたが、いよいよ当初の設立目的であった『無職転生 ~』に乗り出す。スタジオバインドはが培ってきた関係各社のノウハウを掛け合わせることで、優れた作品を世に送り出したいとしている。
WHITE FOXは2007年4月に設立、すでに12年の歴史を持つが、老舗も多いアニメ業界では新進のスタジオといえる。作品のクオリティ、仕上がりには定評がある。『Re:ゼロから始める異世界生活』や『STEINS;GATE』といったヒット作を次々に生み出してきた。
共同出資するEGG FIRMがトピックだ。長年プロデューサーとしての経験を重ねてきた大澤信博氏が2015年に設立したばかり。こちらも、『ソードアート・オンライン アリシゼーション』や『斉木楠雄のΨ難』などのヒット作を手がける。しかしEGG FIRMの役割は企画やプロデュースが中心で、会社自体は実制作のスタジオを持たない。今回はEGG FIRMは出資を通じてスタジオを持つことになる。
近年アニメへの関心が高まる中で、その制作本数が急増している。これによりアニメスタジオのスケジュールは数年先まで埋まっていることが珍しくなく、アニメの制作現場を確保は重要な問題となっている。量とスピードが要求されるなか、テレビシリーズのなかには十分なクオリティに達してない作品もあると指摘もある。
スタジオバインドは『無職転生 ~』に集中する環境を築くことで、ファンのニーズに応えられる作品を目指す。こうした体制からはWHITE FOXとEGG FIRMをはじめとする関係会社が『無職転生 ~』をビッグプロジェクトとして位置付けていることもわかる。
大型作品に、新たなビジネスの取り組み。『無職転生 ~』とスタジオバインドは、大きな期待を集めそうだ。
株式会社スタジオバインド
http://st-bind.jp/
設立 2018年11月
代表取締役 プロデューサー 大友寿也