10月11日に発表された東宝の2020年第2四半期決算が好調だ。連結で売上高、営業利益、経常利益、純利益でいずれも第2四半期としては過去最高となった。
連結売上高は1440億5800万円(8.3%増)、営業利益は335億3900万円(32.8%増)、経常利益は345億7800万円(31.2%増)、当期純利益は228億8500万円(35.8%増)。製作出資をして配給を担当した劇場アニメ『天気の子』が興行収入130億円を超え、さらに劇場版『名探偵コナン 紺青の拳』が大ヒットになったのが貢献した。
東宝の事業は主に映画事業、演劇事業、不動産事業の3つから構成されるが、いずれもが増収増益で好調だ。
演劇事業はロングラン公演の『エリザベート』、不動産事業はビル賃貸が牽引している。演劇事業は売上高87億3000万円(5.0%増)で営業利益が12億7100万円(93.7%増)。不動産事業は売上高341億円(4.3%増)、営業利益87億1900万円(12.7%増)。
映画事業はさらに製作・配給・映画営業・国際・企画部門を含む映画営業事業、映画興行事業、パッケージ・アニメ製作・出版/商品・実写製作・ODSの各部門からなる映像事業の3つがある。
製作出資の主要タイトルは新海誠監督の最新作『天気の子』、人気シリーズで興行収入が過去最高となった『名探偵コナン 紺青の拳』、マンガ原作の『キングダム』である。今期の特長は米国の大手映画会社との共同製作案件が本格的に決算に反映されてくることだ。『名探偵ピカチュウ』『ゴジラ キング・オブ・モンスターズ』がこれにあたる。
今期より米国法人の国際東宝を連結決算の対象に含めたのもこうした流れのひとつとみられる。決算における重要性が増したためと同社は説明する。海外関連では第2四半期までの海外輸出収入は20億1800万円であった。
配給ではさらに、東宝で『映画ドラえもん のび太の月面探査記』『映画クレヨンしんちゃん 新婚旅行ハリケーン ~失われたひろし』、東宝東和で『ワイルド・スピード/スーパーコンボ』『ペット2』のヒットがあった
映画興行は自社配給以外にも、『アラジン』『トイ・ストーリー4』などがあり業界全体が好調であった。TOHOシネマズを中心に売上高522億9600万円(16.8%増)、営業利益は108億7700万円(35.2%増)と大きく伸びた。
映像事業のうちアニメ製作事業部門では、『天気の子』『名探偵コナン 紺青の拳』のヒットにも関わらず伸び悩んでいる。売上高は41億6600万円と前年同期比で9.4%の減少。
新作テレビアニメでは『Fairy gone フェアリーゴーン』『Dr.STONE』に出資する。また今冬新作映画が公開される『僕のヒーローアカデミア』も出資作品で、今後の活躍が期待される。
映像事業では、この他DVDやブルーレイの発売・販売にあたるパッケージ事業部門が35.5%減の28億2500万円と苦戦している。パンフレットなどの出版・商品事業部門32億6600万円、実写製作事業部門が12億4100万円(119.0%増)、ODS事業部門は17億円(198.4%増)。ODSでは『プロメア』『海獣の子供』が主力タイトルであった。