日本でも指折りの映画館の集積地である東京・新宿に、アニメ専門の映画館が登場する。長年、映画ファンに親しまれてきた角川シネマ新宿がこのほど大幅リニューアルを実施した。新しい施設と共に、“アニメ専門劇場”を掲げる。
近年、アニメの劇場鑑賞は人気が高く、年間の邦画興行収入でも大きな割合を占めるほど映画界で存在感が高い。そうした人気に合わせて、新作劇場アニメの公開も急増している。一方で、旧作も含めた多様な鑑賞の作品の場は決して多くない。アニメ専門劇場はありそうでなく、新しい方針はファンにとって待望と言っていいだろう。
2018年7月28日のリニューアルオープンから第一弾として「細田守フィル ムェステバル」を実施する。8月24日までの一ヶ月近く、『劇場版デジモンアドベチャーぼくらのウォーゲーム!』から『バケモノの子』までの細田守監督の長編劇場アニメ5本を上映する。
最新作『未来のミライ』で盛り上がる中で、細田守監督のこれまでの作品を大型スクリーンで観る貴重な機会になる。入場料金は800円から1000円に設定され、若いアニメファンでも気軽に鑑賞できる価格の設定されている。
一方、今回のリニューアルの大きな特長は、映画鑑賞のプラスアルファの部分だろう。これまでシネマ2(56席)として運営されていた5階フロアを「アニメギャラリー」とした。こちらは入場無料で、映画鑑賞の前後、そして時間のある時に立ち寄って、映画の世界を楽しめる。企画第一弾は「細田守監督作品フィルムワークスギャラリー」だ。
またカフェも併設され、上映作品にコラボレーションしたフードやカフェも提供する。さらにラウンジでは上映会やトークイベントなどの小型イベントも開催できる。アニメ映画を総合的に楽しめる空間を目指した空間となり、従来の映画館のイメージを一新する。アニメ映画の劇場鑑賞のイベント性が高まる中で、ファンのニーズに応えた新時代の映画館と言っていいだろう。
新宿地区では、新宿バルト9、新宿ピカデリー、TOHOシネマズ 新宿の大型シネコンが3つ立地する。独立系の個性豊かな映画館も数多い。さらに2022年には歌舞伎町に新たなシネコンの開業が予定されている。そうしたなかで角川シネマ新宿は、“アニメ専門”と体験型空間を打ち出すことで差別化を目指す。
角川映画は、大映やヘラルドの歴史も受け継ぐ国内映画会社大手の一角である。しかし2013年に興行から撤退している。当時、角川書店の直営であった角川シネマ新宿など2館のみが現在グループ映画館となっている。
角川シネマ新宿
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