米国の日本マンガ・アニメ会社のViz Mediaが、弐瓶勉のSFマンガを原作とした劇場アニメ『BLAME!』のDVDとBlu‐ray、そして商品化の北米ライセンスを獲得した。2017年10月5日から8日まで、米国で開催されたニューヨークコミコンのViz Mediaパネルイベントの目玉のひとつとして明らかにした。
発表によればDVDとBlu‐rayは、本編のほか、アートギャラリーやメイキング・ドキュメンタリーを収録する。『BLAME!』は、2017年5月にNETFLIXで全世界同時配信をスタートしているが、本編プラスアルファの付加価値をつけることで、本作に多いコア層のファンにアピールする。
映画『BLAME!』は原作者・弐瓶勉の総監修のもと、数々のハイクオリティのCGアニメを創り出していたポリゴン・ピクチュアズがアニメーション制作を担当した。原作のコンセプトを活かしつつ、劇場向けにオリジナルのストーリーを展開した。
作品のクオリティの高さと同時に、ビジネス面での取り組みも新しい挑戦が多かった。ひとつは定額見放題配信で知られるNETFLIXのオリジナルアニメとすることで、劇場公開と同日に全世界に向けて同時配信をスタートしたことだ。日本では配信でも見られるにも関わらず、劇場でも好調な興行成績を残している。
また劇場公開、配信から約半年後、11月1日から国内ではキングレコードがDVDとBlu‐rayを発売している。
一方、今回のViz Mediaの試みも挑戦的である。Viz Mediaは小学館・集英社系の米国法人だが、『BLAME!』の原作はライバルとなる講談社から発売している。米国での英語翻訳版も講談社も出資するヴァーティカルから刊行されている。
Viz Mediaはこれまでも、小学館・集英社を中心とする一橋グループ以外からのアニメ・小説・キャラクターに積極的に取り組んでいる。よい作品であれば、ビジネスは問わない姿勢が強い。それでも『BLAME!』では、近年アニメビジネスで重要な配信ライセンスもNETFLIXが保有する。Viz Mediaは映像の中では映像ソフトのみの権利、そして商品化権だけでビジネスをすることになる。それは『BLAME!』にはコアなファンが多く、映像ソフトやハイクオリティな商品に需要があると読みがあるわけだ。こうした動きは複雑化する北米のアニメビジネスを象徴しているともいえるだろう。