2017年6月12日から17日まで、フランスで開催されるアヌシー国際アニメーション映画祭にて、日本のアニメーション特集が開催される。1917年に国産アニメーションが初めて上映されてから、今年で100年を迎えたのを記念したものだ。
日本動画協会が中心になり、「ANIME NEXT 100」をテーマにしたプレゼンテーションや特別上映を実施。日本のアニメーションにおける長い歴史と多様性を紹介する。
まず注目されそうなのは、期間中、2度上映される「Annecy Classics: 100 Years of Japanese Animation」だ。古典作品を紹介する映画祭のプログラムのひとつとして、1920年代から1940年代にかけての短編をまとめて上映する。村田安司の『漫画 瘤取り』や、大藤信郎の『春の唄』、政岡憲三の『マングワ 新猿蟹合戰』、瀬尾光世の『アリチャン』など、日本でもスクリーンの上映の機会が少ない作品が揃った。
また長編映画でも、1988年の『AKIRA』(大友克洋監督)、1997年の『パーフェクトブルー』(今 敏監督)がラインナップされた。いずれも世界的な古典とされる作品だ。珍しいところでは、2009年に劇場公開された『宇宙戦艦ヤマト 復活篇』がある。これまであまり海外に出たことのなかった作品だけに、現地のファンにとっては貴重な機会になりそうだ。
6月14日には、映画祭と併催される国際見本市MIFAで、「The Future Of Japanese Anime」と題したプレゼンテーションを実施する。「日本アニメーションの遺産」「教育と育成」「アニメの未来」など、「ANIME NEXT 100」の2020年までに取り組みを紹介する。
2017年は短編部門や学生部門では、日本からの公式出品が少なくやや寂しい結果になっている。一方で、長編部門では『聲の形』、『夜明け告げるルーのうた』、『この世界の片隅に』の3本がコンペインした。また、アニメーション映画『GODZILLA』、『劇場版 マジンガーZ』、『BLAME!』などが様々なかたちで紹介される。
さらに今年は「ANIME NEXT 100」、東京都の「ANIME TOKYO」での企画ピッチやブース出展など、作品上映以外での進出も目立つ。巨大化するアヌシーのなかで日本の存在感も増している。
しかし、存在感を大きくしているのは日本だけでない。2017年はゲスト国として中国が取り上げられ、中国のアニメーションの歴史が披露される。MIFAにも中国からの大掛かりな出展が予想される。
韓国は、アヌシー・アジア映画祭の立ち上げ記者会見を予定。香港は地域特集「Territory Focus」に登場する。東アジアの各国が、アヌシーの活用に動いている。
逆にこれはアヌシーの東アジア重視の流れとも見える。ヨーロッパの映画祭が米国、カナダを巻き込むことで変貌を遂げたように、今度は東アジアにアプローチすることでさらなるグローバル化を目指すのかもしれない。ヨーロッパ、北米、アジア、そしてさらに多くの地域、2017年のアヌシーはさらに国際色を豊かにしそうだ。