日本映画の海外公開が必ずしも多くないなかで、その普及に大きな役割を果たしているのが各国で開催される国際映画祭だ。この場で上映されることで、多くの映画関係者や映画ファンが作品に触れる。メディアへの作品紹介や批評を通じた認知度のアップ、また海外配給につながることも多い。
しかし、国際映画祭の出品のための外国語字幕制作費、監督やプロデューサーの渡航費は馬鹿にならない。制作者にとっては、大きな費用となることも多い。
そうした中で文化庁は、「平成29年度海外映画祭出品等支援事業日本映画海外展開支援」を実施する。海外映画祭に日本映画が出品される際の外国語字幕制作費と製作関係者の渡航費に絞って経費の一部を支援する。事業を運営する公益財団法人ユニジャパンが、募集要項を明らかにした。
実写長編映画だけでなく、アニメーション映画祭、短編映画祭、ドキュメンタリー映画祭も支援対象になっている。また法人の他、個人からの申請も可能だ。自主映画の制作者にも配慮したものになる。アニメーション映画の関係者にも活用できそうだ。
申請に対する審査を実施するが、2017年4月21日から2018年3月31日までに海外で開催される全ての国際映画祭を対象とする。間口を幅広くとっている。
一方で、主要な国際映画祭については、優先的に支援する特別枠が設けられている。支援金額が上限300万円のカテゴリーB-1はカンヌ、ヴェネチア、ベルリンの3大国際映画祭のメイン・コンペティション部門、上限150万円のB-2は上海、モスクワ、カルロヴィ・ヴァリ、ロカルノ、モントリオール、サンセバスチャンの各国際映画祭、さらに米国アカデミー賞のノミネートを対象にする。国の対外的な文化戦略の一環にもなっている。
指定映画祭以外では、法人からの申請の場合、外国語字幕制作費の支援が上限70万円、海外渡航費は上限40万円になる。個人からの場合も外国語字幕制作費の上限は70万円、海外渡航費は上限20万円になる。いずれも申請費用の2分1が支援金額になる。
申請にあたっては、申請書のほか経費明細書、申請費用の請求書・領収書のコピー、作品や映画祭の資料などが必要。選考は2017年8月、12月、18年3月の年3回に分けて行う。申請の詳細は財団の公式サイトにて確認出来る。
文化庁日本映画海外映画祭出品等支援事業 平成29年度日本映画海外展開支援募集要項
http://unijapan.org/oversea/support/rules.html