テレビ東京は中国現地法人を通じて、中国と東南アジアに向けたオリジナルIPのビジネスプリジェクトをスタートした。日本や世界各地の「名剣」「名刀」を擬人化したキャラクターを中心に展開する 『刀姫 (かたなひめ)(仮)』だ。
企画を推進するのは杭州都之漫文化創意有限公司で、テレビ東京が2019年に中国に100%出資して設立した現地法人である。まずは今年秋から中国のSNSメディアの微博で露出し、キャラクターの認知度を高める。その後は、WEBコミックやスマートフォン・PC向けのゲーム、さらにVtuberなどでの展開を予定する。最終的にはアニメ化と商品化による利益を目指す。
また中国だけでなく、その後は東南アジアへ進出も視野に入れている。メインターゲットは中国や東南アジアの若者で、そこで彼らに身近なSNSやミニゲーム、ショートムービー、WEBコミックといった展開が考えられている。
『刀姫 (かたなひめ)(仮)』は、かつて葬られた闇将軍が復活し、世界平和を脅かす世界が舞台。日本本や世界の名刀・名剣が刀姫となって転生し、闇将軍側と世界を守ろうとする側に分かれてバトルを繰り広げる。
原案に美少女イラストやフィギュアデザインで定評があるZELITTOと『鋼の錬金術師』や『魔法先生ネギま!?』などで活躍する脚本家の高山カツヒコを起用。ZELITTOは台湾出身の若手イラストレーターで、高山は中国の人気ゲームシリーズのアニメ化『軒轅剣 蒼き曜』でシリーズ構成と脚本を務めた。
パートナー企業として台湾のアニメ企画・投資会社NADA HOLDINGSが参加する。国際的な枠組みのプロジェクトとなる。
もともとテレビ東京は、アニメの番組販売、ライセンス展開で中国市場を得意としてきた。近年は日本からの新作進出が様々な規制で中国市場への進出が難しくなっており、現地でのオリジナルコンテンツ開発は、想定内のビジネスと言える。
一方で今回はそれに東南アジアを加えてきたのが新しい。中国のコンテンツは華僑ネットワークを中心に、以前より東南アジアに文化的な影響力を持っていた。近年は同国のエンタテイメントビジネスの拡大や配信プラットフォームの進出もあり、そうした力も強まっている。そこで中国発で東南アジアに拡大展開とのアイディアが生まれたとみられる。
テレビ東京はシンガポールではDigital Entertainment Assetに出資し、テレビ東京が手掛ける作品から展開するNFTを活用したゲームや商品化を試みている。ベトナムでは映像配信会社のPOPSと資本提携をしている。ビジネスにおける東南アジア重視を打ち出している。中国進出とそうした戦略が結びついたといえそうだ。