フランスの地方都市アヌシーで毎年開催されるアニメーション映画祭が、2022年だけで地域に2280万ユーロ(約32億円)の経済効果を与えていることが分かった。2023年1月17日に映画祭と併催国際見本市MIFAを運営するCITIAの発表で分かった。
アヌシー国際アニメーション映画祭は1960年に創設、世界で最も長い歴史を持ち、同時に最大規模のアニメーション映画祭であることで知られている。CITIAは地元のサヴォア・モンブラン大学との共同調査でこの数字を算出した。
調査の基盤となったのは、やはり規模の大きさにある。映画祭期間中は6日間にわたり約300本のスクリーン上映を行い、11万5000枚のチケットを販売する。さらに1万3248人の登録参加者がいる。このうち1万1800人は地域以外から来訪したもので、また全体の47%が国外からになる。インバウンドの力が地元経済を活性化させている。
さらに雇用がある。映画祭は38名のフルタイムのスタッフ、50名の協力者、403名のボランティアを雇用する。これも地元に対する大きな貢献だ。
経済効果は映画祭を運営するCITIAの支出、参加者の支出などを集計し、算出している。32億円の金額は都会の大きなリゾート施設の売上から見ると小さく見えるかもしれないが、アヌシーが人口12万あまりの小さなリゾート地と考えれば、その大きさも分かるだろう。
映画祭に対して地域からの助成金も出ているが、CITIAは映画祭のメイン会場となる市民ホールへの投資は1ユーロにつき50.8ユーロを生み出しているとする。同時に助成金1ユーロあたり11.9ユーロが生み出されているとし、映画祭の助成が地域に貢献していることを示す。
近年は世界的にアニメーションや映画、コミック、アートなどのイベントは世界中の都市で開催されるようになっている。しかしその経済的な波及効果は分かりにくい。今回の調査結果は、そしたなかでイベントの地域への波及効果を示すひとつの例となりそうだ。