1970年代のロボットアニメ『UFOロボ グレンダイザー』が南ヨーロッパやアラブ・中東でかつて高い人気を博したことは、一部のアニメ関係者にはよく知られた話だ。それが2020年代のいま再び活気づいている。中東で本作の大規模な展開が新たに始まりそうな気配なのだ。
2022年11月18日、サウジアラビアの大手エンタテイメント企業マンガプロダクションズは、日本のダイナミック企画と『UFOロボ グレンダイザー』から中東におけるIPライセンスを獲得したと発表した。そのうえで両社は戦略的パートナーシップ契約を締結する。戦略的パートナーシップのなかには、マンガプロダクションズへのライセンス供与のほか、作品の中東地域でのゲーム・アミューズメント施設・イベントでのキャラクターの利用が含まれる。
マンガプロダクションズは、サウジアラビアと中東のエンタテイメント産業振興のために設立された同国王室系の企業だ。アニメーション、マンガ・コミックと幅広いエンタメ領域で新規ビジネスを開拓している。日本のエンタテイメントに関心が深いことでも知られる。
東映アニメーションと共同制作したアニメ映画『ジャーニー 太古アラビア半島での奇跡と戦いの物語』は大きな話題を呼んだ。現在の日本のエンタメ業界と中東をつなぐなかで最も重要な企業と言える。
ダイナミック企画はマンガ家・永井豪らのライセンス管理をする会社である。永井豪は『デビルマン』、『キューティーハニー』、『ゲッターロボ』などの代表作がよく知られている。『マジンガーZ』のシリーズの一翼を担う『グレンダイザー』も、そのひとつだ。
今回マンガプロダクションズは、往年の人気アニメのリブート、再活性化によるIPビジネスにビジネスチャンスを見出す。具体的なビジネスプランについては今回発表はなかったが、アクティブな投資を続けるマンガプロダクションズだけに、今後は作品を利用した大型企画も飛び出しそうだ。