電子書籍関連事業の大手メディアドゥは2022年2月24日に、NTTドコモが保有する株式会社エブリスタの株式を全株取得することを明らかにした。メディアドゥはすでにエブリスタの70%の株式を保有して連結子会社にしている。NTTドコモの持分30%を取得することで完全子会社とする。取得金額は4億3100万円、22年3月31日付で受け渡す。
メディアドゥがエブリスタの株式を最初に取得したのは、21年12月24日。ディー・エヌ-・エーの所有していた70%である。そこからわずか3ヵ月で、エブリスタはディー・エヌ-・エーとNTTドコモの共同出資会社からメディアドゥ傘下に移る。
メディアドゥは今回の完全子会社化について、グループ間の連携を強化することによる収益力の拡大と企業価値向上を目指すとしている。自社グループ内の紙出版事業との連携、電子書店事業でのオリジナル作品などへの原作提供などでシナジー効果を期待する。
エブリスタは2010年にユーザー参加型の小説投稿サイトの運営会社として設立された。「モバゲータウン」や「iモード」から顧客誘導を目指していた。投稿サイトとしては存在感はあるものの、2019年3月期の売上高が13億6000万円だったのに対して、20年3月期は11億6000万円、21年3月期は8億8000万円と事業の鈍化が鮮明だった。ディー・エヌ-・エーとNTTドコモは、非中核事業としてエブリスタを切り離したかたちだ。
一方のメディアドゥは、国内電子書籍取次の最大手。高いシェアと電子書籍マーケットの急成長で売上げを伸ばしている。現在の売上のほとんどは電子書籍取次だが、積極的な新規事業進出と企業買収で多角化を目指している。書籍要約のフライヤー、日本アニメのコミュニティサイトMyAnimeList、出版社の日本文芸社とジェイブ、電子書籍書店のコミックテラスなど多彩だ。今回のエブリスタも、そうした流れのひとつと言える。