サウジアラビアの老舗出版社サウジ・リサーチ&メディアグループ(SRMG)は、アラビア語圏での日本のマンガ翻訳出版に乗り出す。SRMGは、日本の大手出版3社、小学館、集英社、KADOKAWAとグローバルパートナーシップ締結した。アラブ企業として初めて日本の出版社とライセンス契約を結び、アラブの読者を対象としたマンガの翻訳出版をする。日本の人気マンガをアラビア語で届ける。
まず「マンガ・アラビア」ブラントのサービスをスタートし、16歳以上向けを対象にした「Manga Arabia」と10~15歳の子どもを対象とした「Manga Arabia Kids」のふたつのプラットフォームを設ける。いずれもデジタル版と月刊誌のかたち無料で読むことができる。配信と出版を通じてアラビア語圏での正規流通の拡大を目指す。
SRMGはサウジアラビア・リヤドで1972年に創業した中東でも有数の規模を持つ総合出版社である。中東と北アフリカに月間1億6500万人以上の読者を持つ。今回のパートナーシップ、ライセンス契約では、日本の人気作品をアレンジ、ローカライズすることでアラブ圏での日本マンガの流通を可能にする。
アラブ地域で初めて現地企業がグローバルなマンガ翻訳をすることはサウジアラビアとアラブ全体で大きな節目となる出来事とSRMGは説明する。
SRMGによれば、日本のマンガはサウジアラビアにおいて需要が高まっている。しかしこれまで作品を流通させるための正規流通がなかった。そこでSRMGがアラブの文化的価値観に馴染むアラビア語版としてにローカライズし、アラブのあらゆる年齢層で受け入れられる正式かつ安全な作品とする。さらに日本の有力3社の人気作品を自社のブランド「マンガ・アラビア」に集結させることで、この分野で主導権を握る狙いがありそうだ。
中東を中心とするアラビア語を使う人々は、世界で2億人以上がいる巨大市場だ。日本のアニメやマンガの人気も高いとされているが、文化の違いの大きさなどから日本カルチャーの進出はこれまで大きくなかった。
しかしここ数年で状況が変わっており、現地の大手エンタメ企業マンガプロダクションが東映アニメーションと劇場アニメ、テレビアニメを共同制作したり、ゲーム会社とのパートナーシップを求めるなどの動きが起きている。
日本側にとってもSRMGのような現地企業の手を借りることで、難しいとされる文化の壁も越えられる期待がある。中東・アラブ地域で日本マンガの新たなビジネスを探る可能性が、今後も広がりそうだ。
サウジ・リサーチ&メディアグループ(SRMG)
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