2018年6月4日から9日まで、クロアチアのザグレブ市でAnimafest Zagrebが開催される。ザグレブ映画祭と通称され、世界四大国際アニメーション映画祭のひとつで広く知られている。
2018年3月9日に、映画祭は2018年の短編部門のオフィシャルコンペティションの選出作品を発表した。一般コンペにあたるGrand Competitionと、学生コンペティション(Student Film Competition)のそれぞれに日本から2作品ずつが選ばれた。
Grand Competitionは、英国で活動を続ける日本人作家・二瓶紗吏奈の『Rabbit’s Blood』と冠木佐和子の『WAAAH』である。
二瓶は多摩美術大学を卒業後、イギリスのロイヤル・カレッジ・オブ・アーツに留学。2015年には『Small People With Hats』でオタワ国際アニメーション映画祭にてグランプリに輝いた。そうした実力を今回も見せつける。
冠木は『肛門的重苦』で学生部門グランプリ、『夏のゲロは冬の肴』で審査員特別賞とこれまで2度ザグレブで受賞を重ね相性がいい。2017年はアヌシー国際アニメーション映画祭でも、学生部門審査員賞を受賞している。44本あるGrand Competitionの中でも注目作と言っていいだろう。
学生部門の選出は、村田香織の『女友だち』と見里朝希の『マイリトルゴート』である。いずれも東京藝術大学大学院映像研究科アニメーション専攻に在学中だ。『マイリトルゴート』は9期生である見里の修了制作で、グリム童話の「七匹の子ヤギ」をモチーフのゴシックホラーテイストなストップモーション作品に仕上げられている。
村田香織は10期生で、『女友だち』は2分あまりの小品だ。しかし、線画イラストの女性たちの日常が変化自在に描かれ、動くのが魅力となっている。
ザグレブの特長はアニメーション作家の持つ、作家性の重視である。それは同じヨーロッパにあるアヌシー映画祭が、アニメーションの領域を社会性やビジネス、人材育成など様々に広げ、最新のトレンドを取りこむのとは対照的だ。よりアート色が強く、依然、短編が重視されている。
それだけにザグレブでの短編でのオフィシャルコンペは作家にとっても価値が高いものと言っていいだろう。
Animafest Zagreb(サグレブ国際アニメーション映画祭)
http://www.animafest.hr/en
■ 日本からの公式出品
[短編コンペティション(Grand Competition — Short Films)]
『Rabbit’s Blood』 二瓶紗吏奈
『WAAAH』 冠木佐和子
[学生コンペティション(Student Film Competition)]
『女友だち』 村田香織
『マイリトルゴート』 見里朝希