「NARUTO」「ブラッククローバー」、クランチロール過去10年の人気作品発表


■世界でやっぱり強かった『NARUTO -ナルト-』
 日本アニメにとっての2010年代は、映像配信プラットフォームと切り離すことが出来ない。それ以前に比べて配信で観る視聴者が格段に増えたからだ。特に海外では、映像プラットフォームを活用した番組の国内外同時リリースが日本アニメファンを一挙に拡大するのに大きな役割を果たした。
 その映像配信プラットフォームのひとつで日本アニメの海外配信で世界最大のクランチロールが、2010年代を振り返る企画を発表した。世界各国・各地域別で2010年代に最も観られた作品のリストを公開した。リストからは「やっぱり」と「びっくり」の両方が判り、海外における日本アニメのトレンドも垣間見える。

 「やっぱり」の一番は、「NARUTO」シリーズの人気だろう。『NARUTO -ナルト- 疾風伝』が、北米、アジア、中東で過去10年間に最も観られた作品だった。南米、ヨーロッパ、アフリカでも非常観られた作品に含まれる。さらに続編の『BORUTO-ボルト- NARUTO NEXT GENERATIONS』もあるから、「NARUTO」シリーズが過去10年クランチロールで最も観られた作品と言っていいだろう。 
『NARUTO』は2009年1月にスタートした北米正規同時配信が、クランチロールのその後の飛躍にもつながったから同社にとっても歴史的な作品だ。また2000年代半ばより、海外でヒットしたアニメでしばしば言及されてきた『NARUTO』の人気が確認できる。

■海外で受けた『ブラッククローバー』
 サプライズは『ブラッククローバー』の高い人気だ。地域別ではヨーロッパ、アフリカで最も観られており、『NARUTO』をも上回る。さらに北米、南米、アジアでもリストに挙がっている。
日本でも人気作品だが、『ONE PIECE』や『ドラゴンボール超』、『僕のヒーローアカデミア』に伍する勢いはちょっと驚きだ。番組スタートが2017年であることを考えればなおさらである。
 国内を上回る人気を海外で博する作品はしばしば現れるが、『ブラッククローバー』はその代表作品と言える。番組は世界同時、情報もネットを通して瞬時に伝わる時代だが、国境を超えることで地域ごとの個性も現れる。

■南極で最も観られた『HUNTER×HUNTER』
 国境を越えるなかで驚かされたもうひとつの作品は、日本のアニメスタルを取り入れて米国で生まれた『RWBY』である。北米ではリストに挙がらなかったが、アジアでは観られた4作品のうちひとつである。地元米国よりもアジアでより支持を受けたというわけだ。

 クランチロールは、過去10年間で配信エリアや配信言語を世界中に広げてきた。今回国別集計がない国は北朝鮮などごく一部にとどまる。今回の発表では、中東やロシア、アフリカといったちょっと驚く地域・国が含まれる。
 なかでも特に驚かされるのは、南極である。遥か南の果ての地にも日本アニメのファンがいる。ちなみに難客で最も観られた作品は『HUNTER×HUNTER』だという。

■海外でも際立つ“ジャンプアニメ”の強さ
 そして世界全体の動向で驚かされるのは、マンガ誌「少年ジャンプ」原作の作品の強さである。『NARUTO -ナルト-』、『ブラッククローバー』、『HUNTER×HUNTER』だけでなく、リストには『ドラゴンボール超』、『ONE PIECE』、『僕のヒーローアカデミア』、『ジョジョの奇妙な冒険』と「週刊少年ジャンプ」に掲載されたことのある作品がずらりと並ぶ。
 それ以外では先の『RWBY』と「別冊少年マガジン」連載の『進撃の巨人』しかない。「ジャンプ」原作の強さは日本ではよく知られているが、世界のアニメカルチャーの潮流でも「ジャンプ」ブランドは大きな輝きを放っている。

【北米】
『NARUTO -ナルト- 疾風伝』(*)
『進撃の巨人』
『ブラッククローバー』
『ドラゴンボール超』
『ONE PIECE』
『BORUTO-ボルト- NARUTO NEXT GENERATIONS』

【南米】
『ドラゴンボール超』(*)
『ブラッククローバー』
『NARUTO -ナルト- 疾風伝』
『ONE PIECE』
『僕のヒーローアカデミア』

【ヨーロッパ】
『ブラッククローバー』(*)
『進撃の巨人』
『ジョジョの奇妙な冒険』
『僕のヒーローアカデミア』
『NARUTO -ナルト- 疾風伝』
『BORUTO-ボルト- NARUTO NEXT GENERATIONS』

【中東】
『NARUTO -ナルト- 疾風伝』(*)
『ブラッククローバー』
『BORUTO-ボルト- NARUTO NEXT GENERATIONS』

【アフリカ】
『ブラッククローバー』(*)
『NARUTO -ナルト- 疾風伝』
『僕のヒーローアカデミア』

【アジア】
『NARUTO -ナルト- 疾風伝』(*)
『ブラッククローバー』
『BORUTO-ボルト- NARUTO NEXT GENERATIONS』
『RWBY』

【オセアニア】
『僕のヒーローアカデミア』(*)
『NARUTO -ナルト- 疾風伝』
『BORUTO-ボルト- NARUTO NEXT GENERATIONS』

【ロシア】
『ブラッククローバー』

【南極大陸】
『HUNTER×HUNTER』

(*)その地域で最も観られた作品

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