中国ゲーム会社Yostar Pictures、日本にアニメスタジオ設立 アーチなど経営参画


 中国のゲーム会社と日本の新進企業がタッグを組み、新しいアニメーションの制作に乗り出す。『アズールレーン』の開発・運営で知られるゲーム会社Yostarの日本法人が、日本企業と手を組んで新スタジオ「Yostar Pictures」を設立した。
 Yostarだけでなく、日本から複数のアニメ企業が出資・参加する。アニメ企画・プロデュースのアーチ、アニメーション・クリエイティブ制作のアルバクロウ、そして横浜アニメーションラボである。
 本社所在地は東京都千代田区神田練塀町、Yostarの日本法人の中に置かれる。代表取締役はYostarの代表取締役でもある李衡達氏が兼任する。新会社はアニメーションなどの映像制作と、制作技術開発を主な事業とする。

 Yostarは『アズールレーン』、『Epic Seven』、『アークナイツ』といった人気ゲームの運営で知られている。なかでも『アズールレーン』は日本でも人気が高く、2019年10月からは日本で制作したテレビアニメシリーズが放送されている。アニメーション制作は新興のバイブリーアニメーションスタジオが担当した。
 今回のアニメスタジオ設立についてYostarは、運営ゲームタイトルの盛り上げには様々な要素が必要であり、そのひとつがアニメであるためとする。
 しかし現在日本のアニメ業界では、有力スタジオのアニメーション制作のラインはほとんど空きがない。ベストタイミングでアニメPVなどの投入できない状態だ。そこで自からの制作会社が必要だと判断した。

 近年、国内で海外資本のアニメスタジオ設立が相次いでいる。日本アニメスタイルで、自国向けの作品を制作する狙いがある。しかし、アニメ制作人材の不足もあり、十分な制作体制を築けないケースが多い。
 そこでYostarで注目されるのが、今回の株主参加企業である。いずれも新進企業だが短い期間で実績を重ねている。さらに各社が経営に深く関わる。
 アーチがアニメーション製作の組織構築、戦略立案、作品製作・制作をサポートするなどアニメーション制作にあたって、関係各社が協力する。制作にあたって十分な体制を用意する。
 またアルバクロウの代表の稲垣亮祐氏と『SSSS.GRIDMAN』総作画監督で『プロメア』にも参加したアニメーターの斉藤健吾氏も取締役に迎える。アーチ代表取締役の平澤直氏と横浜アニメーションラボ代表取締役の大上裕真氏は相談役に就任している。

 発表に合わせて、Yostarの代表作アプリゲーム『アークナイツ』の世界観を表現する1分50秒ほどのPVが制作され、公開となった。クオリティの高い映像に仕上がっている。
 今後はアニメーション制作会社だけでなく、企画開発や製作委員会の組成などのプリプロダクションも目指す。さらに『アズールレーン びそくぜんしんっ!』のアニメ映像化も視野にいれる。Yostar Picturesの事業がどこまで広がるのか、しばらくは目が離せない。

Yostar Pictures
http://www.yostar-pictures.co.jp/
『アークナイツ』PV

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