ファンワークス新作ショートアニメで中国展開 クオンとADKが協力

破裂蛋蛋君

 ファンワークス、クオン、ADKエモーションズの国内3社が、中国でアニメを活用したキャラクターの展開で協力する。3社は中国のWeChatで人気のキャラクター「蛋蛋君(Mr.Egg)」のショートアニメシリーズを製作し、中国の動画アプリで展開すると発表した。
 アニメのタイトルは『破裂蛋蛋君』、各エピソードは15秒から1分で全24話を予定している。ファンワークスがアニメーション制作を担当する。

 作品が通常のショートアニメよりさらに短い1分以下となるのは、配信の主要メディアが短い動画に特化した配信アプリの活用となるためだ。この分野で人気の高い中国版TikTok「抖音」を始めとする10種類のアプリで、2019年10月21日から第1回配信をする。第2回以降は、週2回のペースで新作を更新していく。
 各作品がショートアニメのなかでも1分以下と特に短くなっているのは、アプリを使った視聴を意識しているためだ。気軽に見られること、さらび簡単に共有できることが意識されている。中国の動画共有アプリのムーブメントを存分に活用する。こうした試みは日本企業では初だという。

「蛋蛋君」はこれまでWeChatのステッカーとして活躍してきた。累計で2億ダウンロードとなる知名度の高さが売りである。
 蛋蛋君は自己主張ができない心の優しいネガティブなタマゴだが、殻を破って飛び出たヒヨコが本音を爆発させる。悩める現代人の心にフットしそうだ。
 アニメでは舞台を冷蔵庫として蛋蛋君と、一心同体でありながら蛋蛋君の本心を呟く小鶏(ヒヨコリアン)を巡って繰り広げる。また映像化にあたっては、スマートフォンで視聴を意識して縦長のフレームにフッットしたスタイルを導入した。

 ビジネスに参加するクオンは、LINEやFacebookなどのスタンプ発のキャラクター開発会社。日本でSNS活用で成功を収めるだけでなく、中国、韓国、香港、台湾などアジア地域にも積極的に進出する。
 ADKエモーションズはADKグループのコンテンツ事業会社。長年多くのアニメやキャラクターのマネジメント、ビジネス開発に手腕を発揮してきた。今回はそのノウハウを中国展開に活かす。
 そしてファンワークスは、『やわらか戦車』や『アグレッシブ烈子』といったショートアニメで国内外に大きなムーブメントを作りだしてきた。絶妙なギャグが持ち味になっている。近年は『兄に付ける薬はない!』など中国向けのヒット作も手がける。

 『破裂蛋蛋君』が目指すのは映像というよりも、映像を通して人気を獲得したうえでのキャラクター商品やゲームなどになる。今後は幅広いビジネス展開を視野に入れる。現代ならでは動画アプリを中心としたキャラクタービジネスが中国でどこまで広がるか。関心を寄せる人は多そうだ。

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