東京ゲームショウ2016開幕 過去最多の614企業・団体出展、会場はVR一色に

東京ゲームショウ2016

2016年9月15日、千葉・幕張メッセにて東京ゲームショウ2016が始まった。15日(木)、16日(金)はビジネス関係者とメディアに向けたビジネスデイ、また週末2日間17日(土)と18日(日)はゲームファンに向けた一般公開になる。期間中は20万人を超す来場者が訪れる見込みだ。
開幕式では一般社団法人コンピュータエンターテインメント協会や経済産業省など関係者がテープカットに参加。また日本を代表するコンテンツとして、ゲーム産業の発展と海外に向けての情報発信への期待を語った。

その巨大さに毎年注目が集める東京ゲームショウだが、2016年も空前の規模となっている。幕張メッセの1ホール~8ホールを企業出展ブースに充てたほか、別棟の9ホール~11ホールではインディーズゲーム、VR、ゲームデバイスなどの特集企画、物販、コスプレを収容する。さらにビジネスミーティングを行う国際会議場、巨大なイベントホールはフードコートに変わった。幕張メッセの全スペースが、東京ゲームショウだけのために使用される。ブース出展する企業・団体の数は過去最高の614にも達した。
そうした華やかさの一方で、会場ではメインプレイヤーの不在も目立った。大手ゲーム企業の任天堂は例年どおり会場に姿をみせていない。『妖怪ウォッチ』などのヒット作で知られるレベルファイブも引き続きブースを設けなかった。PlayStationと並ぶゲームコンソール機Xboxを開発・発売するマイクロソフトは2年連続で出展を見送った。2014年に存在感を発揮したSNSのDeNAも出展はなく、グリーはブースの規模を縮小している。NTTドコモ、KDDI/au、ソフトバンクなどの携帯キャリアも同様である。

大物不在に関わらず会場がそれなりに盛り上がることは、むしろ現在のゲームビジネスのトレンドの変化の大きさを感じさせる。出展企業の増加を支えたのは、海外からの参加である。前年246社であった海外企業は、今年は345社と急増した。とりわけアジア企業の積極的な姿勢が目立ち、会場でもアジアからのビジネス関係者、メディアが数多く見受けられた。アジア企業のブースでは、数年前に較べると商談が活発になっているのが感じられた。
もうひとつは新興企業の勢いだ。2000年代は大型合併が相次いだほかゲーム制作費の高騰で、ゲーム機関連企業を中心とした東京ゲームショウ企業が減り勢いを失っていた。しかし、現在はSNSゲームやアプリゲーム企業を積極的に受け入れることで、イベントへ参加する新興企業、中小企業が増えている。メインホールでは大型ブースを両壁際に、新興・中小企業、海外企業を中央に置く配置のうまさもあり、そうしたブースに足を向ける人も多かった。
またここ数年ムーブメントになっているインディーズゲームも新しさを感じさせる。2016年は何よりもVR(仮想現実)への注目が全体を盛り上げている。特集コーナーが設けられたほか、どこの企業もVRに力をいれ、新しさを求めるゲーム関係者の関心を集めていた。さながらVRゲームショウの様相だ。VRが今後さらに続く大型トレンドとして期待されていることが窺える。

東京ゲームショウに限らず、米国のE3などゲームの大型見本市は、その出展の採算性がしばしば問われる。とりわけ出展すれば巨額の費用がかかる大企業ほど、悩みのタネとなる。今後も、大型企業の不参加は少なからずあるだろう。
ただし東京ゲームショウを国際見本市として考えれば、新しい企業が新しいビジネスパートナーを探す場として十分機能している。そして、ゲーム業界のトレンドを掴む場所として、これ以上の場所はない。2016年、そして2017年以降も、東京ゲームショウは注目を浴び続けるに違いない。

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