東京国際映画祭が特別招待を発表 米国とフランスから長編アニメーション2作品も

MUTAFUKAZ

■ オープニングに『鋼の錬金術師』のプレミア上映

 2017年10月25日から11月3日までの9日間、東京・六本木を中心に第30回東京国際映画祭が開催される。国内最大級の国際映画祭として、毎年注目を浴びるイベントだ。
 その映画祭を彩る特別招待作品が、このほど発表された。招待作品はアワードを競うコンペティションとは別に、プレミア上映を軸に話題の映画を取り上げる。有名監督作品や人気俳優の出演も多く、イベントを華やかに盛り上げるのにも一役買っている。今年も映画ファンの期待に応えるべく、多彩な映画が出揃った。

 なかでもオープニング、クロージング、さらにオープニングスペシャルが豪華だ。まず10月25日にオープニングとして登場するのは、実写映画『鋼の錬金術師』である。『ピンポン』や『あしたのジョー』などの曽利文彦監督が、山田涼介を主演に迎え、イタリアロケも敢行、かつてない規模で原作の世界観を再現する。
 『鋼の錬金術師』は、マンガ家・荒川弘の大ヒット作。これまでに2度にわたりテレビアニメ化、さらに劇場アニメ化もされている。これが世界的な大ヒットになっており、知名度も高い。東京国際映画祭がワールドプレミアとなると見られるだけに、グローバルな関心を集めることになりそうだ。
 アニメファンにとっては、曽利監督は『APPLESEED』や『ベクシル 2077日本鎖国』といったアニメ映画でもお馴染み。製作のワーナー・ブラザーズ映画は『るろうに剣心』、『銀魂』とマンガ原作の実写化に実績が高いのも楽しみな要素だろう。

 2007年に地球環境の危機を映像で明らかにし、世界的に評価された『不都合な真実 2:放置された地球』がクロージング作品となる。主演は元米国副大統領のアル・ゴアと異色だ。
 そして日本、中国が手を組んで、空前の規模で製作する『空海― KU –KAI』がオープニングスペシャルで登場する。こちらは特別フッテージの上映となるが、日中の映画製作の新時代を感じさせる作品だけに、大きな関心を集めるだろう。

■ フランスから『MUTAFUKAZ』、米国から『KUBO/クボ 二本の弦の秘密』

 特別招待作品のなかには、アニメーション映画も含まれている。2017年11月18日の国内公開が決定している『KUBO/クボ 二本の弦の秘密』、そしてフランスと日本で共同製作した『MUTAFUKAZ』である。

 『KUBO/クボ 二本の弦の秘密』は、米国で『コララインとボタンの魔女』、『パラノーマン ブライス・ホローの謎』、『The Boxtrolls』と人形を使ったストップモーションで、世界最高峰を讃えられるライカの最新作である。数々の国際賞に輝き、ライカの最高傑作ともされている。作品の舞台は日本ということもあり、東京国際映画祭にぴったりだ。
 『MUTAFUKAZ』はフランスの人気バンドデシネ(マンガ)を、現地のアンカマが長編アニメーションとした。もともと日本アニメからの影響も強いとされるアンカマが日本のアニメスタジオであるスタジオ 4℃と共同製作している。2017年6月にアヌシー国際アニメーション映画祭でワールドプレミアされたばかりで、商業公開はまだされていない。本作を楽しむ貴重な機会となる。

 東京国際映画祭は、近年、日本の映画文化発信のひとつとしてアニメーション映画に積極的に取り組んでいる。本年も映画監督の原恵一の特集を組み代表的な作品をまとめて上映する。
 その一方で、海外のアニメーション映画の上映は手薄だった。現在、アニメーション映画は映画業界で世界的な盛り上がりを見せているだけに残念であった。今回は、日本に縁のある質の高い長編アニメーションが2本揃ったことで、日本から世界へ、そして世界から日本への交流が実現する。

第30 回東京国際映画祭
http://2017.tiff-jp.net/ja/
2017年10月25日(水)~11月3日(金・祝)
会場: 六本木ヒルズ、EXシアター六本木 他

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