有力タイトル囲い込み Amazonプライム・ビデオがMBS「アニメイズム」を独占配信

「アニメイズム」

 アニメ視聴における動画配信の役割が拡大する中で、映像配信プラットフォーム間の競争が激化している。その中で、ユーザー獲得手段として、コンテンツの囲い込み、独占タイトルの獲得がクローズアップされそうだ。
 2017年6月30日、アマゾンジャパン合同会社は、同社が提供する動画配信サービスAmazonプライム・ビデオで、毎日放送(MBS)の人気アニメ枠「アニメイズム」の作品を独占配信すると発表した。作品は、「アニメイズム」での放送直後から世界200ヵ国・地域に向けて配信開始する。7月8日から始まる新シリーズ『将国のアルタイル』、そして2クール目となる『神撃のバハムート VIRGIN SOUL』が第1弾となる。

 Amazonプライム・ビデオは、ECサイトの世界的な大手Amazonの映像配信部門。個別視聴のほか、月400円(税込)もしくは年3900円(税込)の会費を払うことで、映像見放題、音楽聴き放題、優先サービスなどを受けることが可能だ。価格の安さと、コンテンツの豊富さで、ユーザー数を急拡大している。
 同社はさらにAmazonプライム・ビデオしか視聴できない有力タイトルを増やすことでユーザーの囲い込みを目指すことになる。

 「アニメイズム」は、MBS、TBS、BS-TBSテレビで設けられたアニメ枠で、毎週金曜日26時25分から1時間、2タイトルが放送されている。週末前の深夜、大型タイトルが数多く登場とアニメファンからの注目が高い。『昭和元禄落語心中』や『ベルセルク』、『キルラキル』といったヒット作、話題作が放送されてきた。
 Amazonプライム・ビデオは、2016年4月には、フジテレビの人気アニメ枠「ノイタミナ」の作品の全世界独占配信を実現している。こちらは7月からはやはり関心の高い 『DIVE!!』を配信する。人気の二大アニメ放送枠が、いずれもAmazonプライム・ビデオの独占となる。配信プラットフォームの契約に悩むファンの動向にも大きな影響を与えそうだ。

 映像プラットフォームでの配信が一般化し始めた2000年代後半には、配信はテレビ放送の補完との役割が大きかった。DVDやBlu-rayの販売にもつながる視聴の拡大で、最新1話は無料、そしてなるべく多くのプラットフォームで配信されることが目指されることが多かった。
 しかし、最近はこうした状況も変わりつつあるようだ。DVDやBlu-ray販売が伸び悩む中で、製作にとっては配信自体が大きな収益源とみられるようになっている。通常の配信ライセンス契約よりも金額の高い、独占配信などを求めるケースが増えている。また配信は有料でしか視聴できない作品も増えている。
 その筆頭はAmazonプライム・ビデオのほか、『亜人』や『リトルウッチアカデミア』など大型タイトルを囲い込むNETFLIXなど外資系企業である。
 一方日本の映像配信プラットフォームは、これまでは独占タイトルよりも、より多く、幅広い量の拡充を戦略としてきた。しかし、他社の独占タイトルが増えれば、そうした戦略の前提も崩れかねない。今後、日本企業が、スAmazon、NETFLIXに対してどういった戦略を取るのかも注目される。

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