ウルトラマンがNetflixで長編CGアニメーション、制作に米国ILM

映画『Ultraman』

 『ゴジラ』から『攻殻機動隊』『ドラゴンボール』、まで、これまで多くの日本のポップカルチャーのアイコンが米国で映画化されてきた。その最新のラインナップに登場から55年を越える特撮のヒーローが加わることになった。
 円谷プロダクションは、1966年の誕生した特撮ヒーロー「ウルトラマン」の長編CGアニメーションを米国で制作すると発表した。映画『Ultraman』として映像配信プラットフォームのNetflixと手を組む。アニメーション制作は「スターウォーズ」シリーズなど数々の映画のVFXやアニメーション映画「ランゴ」なども手がけるインダストリアル・ライト&マジック (ILM)である。ルーカスフィルムの子会社という名門だけに、かなりの大作が期待出来そうだ。製作予算やリリース時期については、今回は明らかにされていないがすでに制作に入っている模様だ。

 監督は脚本も務めるシャノン・ティンドルを起用、カートゥーンのテレビシリーズなどで経験のあるジョン・アオシマが共同監督を務める。ティンドル監督は日本の中世を舞台にしたストップモーション・アニメーションの傑作『KUBO/クボ 二本の弦の秘密』の原案・キャラクターデザインをしている。日本文化に関心が強いとみられる。
 ストーリーは映画のためのオリジナルストーリーで、これまでのウルトラマンシリーズにない新鮮なものになる。主人公は米国野球界で活躍したスター選手サトウ・ケン。実は地球を守るウルトラマンとしても活躍しており、日本を守るために帰国するが、怪獣の赤ちゃん養育を任され新米パパとしても奮闘する。さらにはサトウの自身のエゴや父との関係、怪獣防衛軍過激派との対峙など様々なテーマが持たされる。

 本作で大きな注目は、やはりNetflixだろう。Netflixは日本のオリジナルアニメの積極的な導入や日本マンガ・アニメを原作とした『デズノート』や『カウボーイビバップ』、『機動戦士ガンダム』の実写作品でも話題を呼んできたが、今回はさらに長編アニメーションでも日本に目を向ける。
 映像配信プラットフォームのオリジナル作品と言えば、以前は複数話数からなるシリーズ作品のイメージが強かった。それが近年は長編映画にも積極的になった。

 日本の国民的スーパーヒーローを描くオリジナルストーリー映画。「Ultraman (原題)」は、Netflixの急拡大する長編アニメーション映画のオリジナル作品のラインアップになる。
 Netflixはシリーズ作品だけでなく、長編映画にも積極的に取り組んでいる。『アイリッシュマン』や『2人のローマ教皇』といった話題作が相次いでいる。2019年からはアニメーションでも長編映画に進出第1弾はアカデミー賞ノミネートされた『クロース』、その後も『ウィロビー家の子どもたち』、『フェイフェイと月の冒険』といったヒット作画がある。今後はギレルモ・デル・トロ監督の『Pinocchio (原題)』やアードマン・アニメーションズの「チキンラン」続編なども予定している。『Ultraman』もこのNetflixオリジナルアニメーション部門のラインナップとなる。

 円谷プロダクションは1963年に円谷英二氏によって設立された老舗の映像会社で、フィールズのグループ会社だ。近年はキャラクターブランドの活性化に積極的に取り組んでいる。「ウルトラマン」シリーズもテレビシリーズを次々に展開する一方で、NetflixのCGアニメシリーズ『ULTRAMAN』や企画・脚本の庵野秀明、監督・樋口真嗣の実写映画『シン・ウルトラマン』の公開も控える。そうしたブランド拡大戦略は国内だけでなく、海外にも向けられることになる。

円谷プロダクション https://m-78.jp/

『Ultraman』
監督: シャノン・ティンドル
共同監督: ジョン・アオシマ
脚本: シャノン・ティンドル、マーク・ヘイムズ
プロデューサー: トム・ノット
共同プロデューサー: リサ・プール
制作: 円谷プロダクション、インダストリアル・ライト&マジック (ILM)

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