原翔子氏が短編グランプリ、ザグレブ・アニメーション映画祭で16年振りの日本人


 世界4大アニメーション映画祭のひとつとして知られるザグレブ国際アニメーション映画祭(アニマフェスト)で、日本人作品が大きな栄誉に輝いた。10月3日、2020年のコンペティション部門の受賞作品を発表した。このうち映画祭で最も注目される短編部門のグランプリに原翔子氏の『Just a Guy』が選ばれた。
 ザグレブの短編部門で日本人がグランプリになるのは、2004年の山村浩二氏の『頭山』以来16年振り。1984年の手塚治虫氏の『Jumping』を含めて、3作目である。快挙と言っていいだろう。
 原翔子氏は長年ドイツに在住し作家活動を続けてきた。『Just a Guy』では実在する凶悪犯を様々な手法を駆使した表現で、ドキュメンタリー・アニメーションとして描いた。

 アニマフェストはフランスのアヌシー、カナダのオタワと並ぶアニメーション映画祭として知られている。世界から大きな注目を浴びている。とりわけ作家性の高さを重視する傾向が強い。
 毎年6月に開催されるが、2020年は新型コロナウィルス感染症の影響を受けて9月28日から10月3日に開催を延期していた。
 日本からも公式出品は多く、短編部門には原翔子氏以外に林俊作氏の『Leaking Life』、野中晶史氏の『めかくれ』、和田淳氏の『マイ エクササイズ』が選ばれている。『マイ エクササイズ』は、児童部門(10~14才)とのダブルノミネーだ。また学生部門は田中いずみ氏の『ナンゾヤ』、李念澤氏『いちご飴』、児童部門(4~7才)に溝口広幸氏の『ふわふわアワー PuiPui&MuuMuu:ふしぎなタネ』が選ばれている。

 このうち『マイ エクササイズ』は、短編部門の審査員特別賞を受賞した。和田淳氏はベルリン国際映画祭短編部門銀熊賞をはじめ数々の映画祭で受賞をし、世界的に活躍するアニメーション作家である。ザグレブでまたひとつキャリアを重ねたことになる。

ザグレブ国際アニメーション映画祭
http://www.animafest.hr/en

Just a guy/ Shoko Hara from AniDox on Vimeo.

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